賛成派、反対派の対立は収拾がつかないレベルに

一般国民の間では、コロナに関する意見はきれいに割れており、収拾のつくようなレベルは超えてしまった。本当にコロナを恐れ、全員がワクチンを打つべきと思っている人たちと、ワクチンは打ちたい人が打てば良く、義務化や2Gなどもってのほかという意見の人たちの対立が膠着こうちゃくしている。ただ、打つべきという意見のほうが、政府やメディアの宣伝効果のせいもあり、絶対的多数だ。

しかし、ワクチン反対者も、すべてのワクチンに反対しているわけではなく、慌てて作ったワクチンを強制的に打たせるのはおかしいと言っているに過ぎない。3年後に何が起こるかは、3年待たなければ分からない。その疑問は、説得で解決できるものではない。

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ユダヤ人に例えようものなら激しい弾劾に遭う

さらに反対の理由として挙がっているのは、ワクチン接種の有無のみで、ここまで基本的人権を侵害することは憲法違反であるというものだ。もし、コロナが本当に殺人的な伝染病であり、ワクチン接種がその感染拡大を防ぐ唯一の効果的な方策であるなら法的にも通るが、現在のところコロナはその限りではない。そもそも基本的人権は生まれながらに備わっているもので、よほどのやむを得ない理由がなければ、剥奪することも、その付与に条件をつけることも許されない。だから、現状については、多くの法学者がその点を問題視している。

さらに言うなら、ワクチンパスがない人は店にも入れないという今の状況は、アーリアパスがないユダヤ人が社会から締め出された時代を彷彿とさせる。しかし、そんなことを口にすれば、政治家やメディアなどから、「比較のレベルをわきまえず、非常識な極論で社会の平安を乱す人間」として、さらに激しく弾劾される構図が出来上がっている。ワクチンは、高齢者など弱者の命を救うために必要だと言われれば、嫌だとは、限りなく言いにくい。

ちなみに、基本的人権の侵害については、国民からの膨大な数の訴えがあったというが、先日、最高裁が政府のやり方を承認する判決を出し、それらの訴えをほぼ一網打尽に退けた。

「未接種者が感染しても治療するな」と極論も

そんなわけで、現在、強制ワクチン反対派は盛んにデモを打っているが、何しろ日に日に追い詰められていることもあり、抵抗は激化している。ザクセン州では条例で、デモは10人までで、移動してはいけないと決められたため、何百人もの人々が「散歩」と称して練り歩き、警官と衝突した。