今では、ワクチン接種は「国家的連帯」のためであり、拒否者は連帯を壊す反社会的人間か、間違った情報を信じてしまう頭の悪い人たちか、科学よりも薬草やらおまじないを信じる人たち、あるいは、なぜか極右という位置づけになっている。そこで、政府やメディアや、政府の下部組織である研究所の研究者たちが、皆でそういう人たちの啓蒙に励んでいる。

ただ、それでも打ちたくない人はいるし、打たないという選択肢も認めるべきだと主張する医師や研究者もいる。コロナワクチン拒否者が皆、間違った情報を信じてしまった頭の悪い人や極右であるはずは、もちろんない。

サッカー選手、政治家、学者が“反対”を表明

例えば10月23日、ブンデスリーガの花形チーム「FCバイエルン・ミュンヘン」のヨシュア・キミッヒ選手(26歳)は、ある有料テレビのインタビューで、コロナのワクチン未接種であると公表した。理由は、「長期的な副作用に対する治験が十分でないため個人的に懸念があるから」。10月31日には、左派党のサラ・ヴァーゲンクネヒト氏がやはりトークショーで同様の主張をした。

また哲学者リヒャルト・D・プレヒト氏も、「子供の免疫システムの構築にこのワクチンを使いたくないので、子供には打たない」と言い、3人ともが例外なく激しい攻撃にさらされた。誰の攻撃かというと、政府、政府と共にワクチンを奨励してきた医師や研究者、そして何よりメディアによる攻撃だ。

ちなみに、12~17歳のワクチン接種は、保健省の下部組織であるロバート・コッホ研究所、さらに同研究所に所属する常任ワクチン委員会によってすでに奨励されており、まもなく、さらにそれより小さな5~12歳の子供への接種(すでに認可済み)も、常任ワクチン委員会が奨励することになっている。

ワクチン委員会トップも「子供が7歳ならまだ打たせない」

ところが、こともあろうに同委員会の会長が、「自分に7歳の子供がいたならまだ打たせない」と発言し、大騒ぎになった。おそらくこれは失言ではなく、自分の首を賭けての発言だと思うが、やはりバッシングは凄まじかった(12月9日、ワクチン委員会は、持病などリスクを持つ子供への接種奨励を発表。その他の子供は、保護者の判断に任せると、ゴーサインを出した)。

一方、その対極にいるのが世界医師会の会長、ウルリッヒ・モンゴメリー氏(ドイツ人)で、オミクロン型が出た途端に、「オミクロンはデルタ型よりも感染力が強く、エボラよりも危険だ」と言った。国民を恐怖に陥れるのが務めか? 彼は、子供の接種も義務にすべきという意見だという。