ほぼすべての場所で有効な「2G」と呼ばれる規制

ドイツでは州政府の権限が強いため、コロナに関する規制も各州でまちまち。しかし、1日の新規感染者数がここ3週間ほどコンスタントに4万人を超え、時に7万人を突破しているため、12月2日、メルケル首相ら連邦政府の代表と、ショルツ氏ら次期政権の代表、および各州の首相などが、全国共通の規制の「最低ライン」を定めた。規制はオミクロンの感染拡大も考慮に入れ、全体的に強化されたが、「最低ライン」であるから、州の権限でさらに強化することが可能だ。本稿では、それら規制の最新状況から、国民の日常生活にとりわけ大きな影響を与えると思われるものを見てみたい。

ドイツ連邦州の首長との会合の後、記者会見に臨むオラフ・ショルツ首相=2021年12月9日
写真=EPA/時事通信フォト
ドイツ連邦州の首長との会合の後、記者会見に臨むオラフ・ショルツ首相=2021年12月9日

まず、最大の変化は、今後、ほぼすべての場所で2Gと呼ばれる規制が有効となること。2Gというのは、ワクチン接種者=Geimpftと、コロナ快癒者=Genesenのことだ。

これまで有効だったのは3Gで、ここにはワクチン接種者とコロナ快癒者の他に、3つ目のGとして、検査での陰性証明取得者=Getestetが入っていた。つまり、ワクチン未接種でも、簡易検査(抗原検査)を受けて陰性証明を取れば、その後24時間は、ワクチン接種者やコロナ快癒者と同じ行動を取ることができた(もちろん、いちいち検査するのは面倒ではあるが、短時間で結果は出る)。なお、検査の代金は、10月中旬から一時、自費になったが、現在は再び無料(ただし、PCRなど正式なテストは高価)。

未接種者は映画館もレストランもジムも行けない

ところが前述のように、今後はほとんどの場所で2G適用となるため、ワクチン接種者とコロナ快癒者以外は、小売店への入店、映画館、劇場、レストラン、美容院、ジムなど、ほとんどの場所への入場が不可となる(18歳以下の人、あるいは何らかの事情でワクチンを打てない人は除外されるが、その場合は証明の提示が必要)。例外はスーパー、ドラッグストア、薬局など生活必需品を扱う店だが、そこでの規制はかなり混沌としている。

一方、ちゃんと決まっているのは人的交流について。たとえ自分の家であっても、その中の誰かが2Gを満たしていない場合、外部の人間はたとえ家族でも2人までしか入れることはできなくなった(14歳以下の子供と、別居中の夫婦やパートナーは例外)。つまり、家族に1人でもワクチン未接種者がいれば、クリスマスの際の親族の集まりなどは不可。一方、全員が2Gを満たしていれば、自宅での私的な集まりは何人でもOKだそうだ。

また、皆が楽しみにしている大晦日の打ち上げ花火(個人でやるもの)は、昨年に引き続き今年も禁止。ナイトクラブやディスコは、市中での感染が一定以上に進んだ時点で閉鎖。学校では、すべての学年でマスク着用が義務となった。