12月初めの世論調査(Forsa社)によると、ワクチン接種者の回答者のうちの86%が、ワクチン未接種者は他人の健康を危険に晒す無責任な人たちであるという意見だった。募る欲求不満を彼らにぶつけている感もある。ワクチンを打たない人にもっと制裁をかけろとか、コロナに罹って病院に運ばれてきても治療するななどという極論も聞く。未接種者はあたかも贖罪のヤギだ。
その一方、2人目の子供を産みたいのでワクチンは受けたくないと言って、週に2回、就業前に検査を受け、戦々恐々で頑張っている人が私の周りにもいる。このままでは、国民の分断がますます進みそうだ。
偽のワクチン証明が多く出回っている
そんな雰囲気なので、偽のワクチン証明が多く出回っており、11月末の時点で、すでに2500件が摘発されたという。売っている人は犯罪者かもしれないが、買っている人は、儲けるためでもなんでもない。身を守るために悲壮な気持ちでやっているのだろう。ブンデスリーガ2部「ヴェルダー・ブレーメン」のアンファング監督も、偽のワクチン証明を提出したことがバレて、辞任している。
1年前、ワクチンを皆が打てばコロナに打ち勝てると言われた。しかし、8割以上の人々が接種を済ませた今も状況は変わらない。しかも、ワクチン接種者というステータスは6カ月で、そして、コロナ罹患者というステータスは8カ月で無効だ。
12月8日、ドイツには新政権が樹立したが、ショルツ首相はすぐさま、「国民のほとんどの人がワクチンに賛成なのだから、声の大きい少数派がいるからといって、社会の分断など起こらない」と断言した。また、新しい保健相によれば、今後はブースター(3度のワクチン接種)を終えなければ、ワクチン接種者のステータスは得られなくなるそうだ。
いずれにせよ、政府は今、すごい勢いでブースターを奨励し、国民は駆り立てられるようにワクチンセンターに詰めかけている。ただ、ブースターの効き目が何カ月続くのか、そもそも変異株に効くのかさえ、まだ誰にも分からない。唯一、確実なのは、この騒動がまだまだ終わらないことだ。本当に社会の分断が進まなければ良いのだが……。