「マーケティングの鬼」ならではの骨太さ

巨匠のデヴィッド・フィンチャーがなぜいまさらドラマに? 当初はそんな声も聞かれたが、内容は圧巻で、エンターテインメント性を徹底追求した骨太のストーリーは「マーケティングの鬼」と言われるネットフリックスならではである。勢いに乗って2014年に配信開始されたシーズン2では、オバマ大統領(当時)が配信日前日に「明日はハウス・オブ・カード配信日。ネタバレ厳禁でよろしく」とツイートするほど社会現象と化していた。

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話をカンヌのMIPCOMに戻すと、ネットフリックスのいまの共同CEOで、当時最高コンテンツ責任者を務めていたテッド・サランドス氏が登壇したとき、「『ハウス・オブ・カード』をご覧になったことがある方は?」と尋ねるシーンがあった。参加者が一斉に手を挙げたことに、サランドス氏が喜びを隠せない様子でニヤっと笑ったことが、今でも記憶に残っている。

エミー賞にゴールデングローブ賞…数々の栄誉に輝く

人気のある作品はシーズンを重ねていく。『ハウス・オブ・カード』シーズン4(2016年)からは日本でも同時配信を開始、筆者も配信日を待ち望んだファンのひとりだった。アメリカでは米大統領選が行われていたこともあって、現実と見まがうようなストーリーが人々を夢中にさせた。

ひとつ残念なのは、主役を務めたケヴィン・スペイシーが未成年へのセクシャル・ハラスメント疑惑によって、途中で降板したことである。これが決定打となり、『ハウス・オブ・カード』はシーズン6をもって終了している。

とはいえ、全シーズンを通じてこれまで56回もエミー賞でノミネートされた功績は大きい。エミー賞と並んで注目度の高いゴールデングローブ賞では2回の受賞に輝き、全米映画俳優組合賞やピーボディ賞などでも受賞を果たすなど、数々の栄誉に輝いている。ネットフリックスが驚異的な存在と見られるようになったことについて、全ては『ハウス・オブ・カード』から始まったと言っても過言ではない。