コスト削減の先に「明るい未来」はない
新しい技術がどんどん出てきて、消費者の嗜好も目まぐるしく変わり、結果として商品のライフサイクルが短くなっている現在。製造業に限りませんが、商品ごとに血のにじむようなコスト削減をいくら積み重ねようが、売れなくなってしまえばすべてが水の泡です。また、売れ筋自体が大きく変わっていく中では、今あるものを改良しても、おのずと限界が訪れます。
いずれにせよ、「コスト削減」で儲かっていた時代はすでに終わり、ゼロベースで考えて商品をつくっていかないと儲からない時代に突入しているということです。
もちろん企業の基礎的な能力として、コストを抑えつつプロダクトをつくっていくノウハウは必要ですが、無駄を極限まで省いてコスト削減していっても、もはやそこに「明るい未来」は訪れません。
「何を、どんな形でつくるのが正しいのか」という前提自体が変わっていくのですから、それに特化しすぎるのは逆に危険。注力すべきはそこではないのです。
今のビジネスを「最適化」しすぎるリスク
コストダウンは「最適化」の一種といえますが、より大きな視点でいえば、コストダウンに限らず、「現在に最適化しすぎない」ことが重要です。
商品やサービスのアイデアを生み出し、リリースするまでには、「現場で情報を集め、社内で共有して分析し、アイデアを練って商品開発する」=「企画」という一連の流れがあります。「企画」は業種にかかわらず、企業のコアとして普遍的な役割を担っており、この部分については、今後も徹底的に最適化した仕組みづくりをするべきです。
ここでいう「やってはいけない最適化」とは、あくまで「今やろうとしているビジネス」に対してのものです。
具体的に「最適化」のどんな点が問題になるのか? それは、そもそもの大枠である現在のビジネスに対する「最適化」が度をすぎてしまえば、「それしかできないプレーヤー」になってしまうことです。そうなると、そのビジネスが通用しなくなったとき、儲からなくなったときに、身動きが取れなくなってしまう危険があるのです。