埼玉県を中心に直営100店舗を展開する中華料理チェーン「ぎょうざの満洲」は、飲食業では珍しく、社員は「1日8時間勤務、週休2日」となっている。なぜ長時間勤務をせずとも店舗を運営できるのか。そこにはさまざまな「効率化」の工夫がある――。

※本稿は、辰井裕紀『強くてうまい!ローカル飲食チェーン』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ぎょうざの満洲の看板メニュー「焼餃子」(6個250円)
写真=筆者提供
ぎょうざの満洲の看板メニュー「焼餃子」(6個250円)

埼玉の駅前にいる“守り神”

埼玉県民には守り神がいる。ロードサイドを守るのが「山田うどん」ならば、駅前の守護神が「ぎょうざの満洲」だ。

埼玉県内の駅近くなら、いたるところに存在する中華料理チェーン。最近では東京の西部にも進出している。

「ぎょうざの満洲」久喜西口店(埼玉県久喜市)
写真=筆者提供
「ぎょうざの満洲」久喜西口店(埼玉県久喜市)

家賃の上限は1坪2万円。既存店の売上高が前年を下回ったら、翌年は出店を抑える。そんな堅実な経営をモットーとして、直営100店舗にまで勢力を伸ばしてきた。

東日本大震災後はリスク分散の観点から関西にも進出し始めているものの、いまだ埼玉を中心としたローカルチェーンの性格が強く、「3割うまい‼︎」などと、謎のキャッチフレーズをつぶやくポップなキャラクターが出迎えてくれる。

全面ガラス張りで飾り気がなく、誰を拒むこともない店構え。店内の雰囲気も、たとえジャージ姿でも浮かない包容力を醸し出す。オトコ臭さは薄く、女性ひとりでも気兼ねなく入れる。だから女性客をよく目にするし、男女の来店数が半々くらいの店舗もある。

うれしいのが、忙しそうな店員さんを呼ばずとも、全席タッチパネルで注文できる手軽さだ。全席に水のピッチャーも置いてあるので、「水ください〜!」と声を張らなくてもいい。

店内のあちこちに鏡が設置されているのが見える。
写真=筆者撮影
店内のあちこちに鏡が設置されているのが見える。

調理場は丸見えなので、店側はおのずとクリーンな状態をキープするし、接客係がどこにいてもお客さんが見えるように、店内の要所に鏡がある。