くず餅は小麦を発酵させているのでグルテンがほとんど含まれていないので大丈夫ですが、食パンなど練りこんだものは緊張型頭痛を誘引することがあるので注意しましょう。洋食は日本人に合わないこともありそうです。

「薬が効かない」といって服用過多は厳禁

緊張型頭痛の治療では、一般的な鎮痛薬(アセトアミノフェン、NSAIDs)が、NNT(一人の患者がよくなる=痛みが半分以下になるのに何人にその薬を投与する必要があるか)≒10~20人(すなわち痛みが半分以下になる人が5~10%)しかいないことから明らかなように、薬が効かないことが特徴です。

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片頭痛に劇的に効くトリプタンも効きませんし、筋弛緩薬もほぼ無効です。効かないから、もっと大量に服用するという使い過ぎは、薬物乱用頭痛のリスクとなるので気をつけましょう。

緊張型頭痛への正しい対処法は、各種トリガーポイント療法、神経ブロック、運動療法、鍼灸、ヨガなど、あくまでも運動療法や心理療法がメインで、薬は補助的です。痛みがひどい場合、ストレッチやマッサージ、程度な運動をして、お風呂で体を温めると楽になることがあります。過労やストレスによる筋肉のコリなので、その原因を取り除くことも必要です。

脊柱管狭窄症や線維筋痛症などの慢性痛で悩む人は結構あたふたします。しかし緊張型頭痛で悩む人は不思議とあたふたしません。我慢すれば耐えられ、動けるからです。メタボでは死なないし運動しなくても大丈夫なのと一緒です。

若いうちは緊張型頭痛をないがしろにして少々無茶をしても致命的にはなりません。しかし、悪性ではないから、軽症だからといって市販薬でなんとかできるという発想は誤りです。10年、20年、30年続くと取り返しのつかないことになりかねません。

予防は「心身のストレスマネジメント」と「運動療法」で

緊張型頭痛の予防薬として数少ない有効なEBM(Evidence-Based-Medicine=研究によって効果があると言われているもの)があるのは、抗うつ剤アミトリプチンです。非常に強い眠気を催す薬なので、10mg/日から始め、30~70mg/日、就寝1~2時間前かつ起床8~9時間前に服用を済ませるようにします。ただし、副作用は便秘、口渇などいろいろとあり抗うつ剤としてもあまり使われていませんのでご注意ください。

薬以外の予防法は、治療法と一緒で、各種トリガーポイント療法、鍼灸、バイオフィードバック、リラクゼーション、認知行動療法、マインドフルネスなど、いわゆるストレスマネジメントと、運動療法(理学療法)が2本柱です。

健康長寿には“頭痛フリー”が大切だ

日常生活におけるさまざまな活動がどの程度、慢性の痛みによって障害されているかを評価する「疼痛生活障害評価尺度ピーダス(Pain Disability Assessment Scale:PDAS)」という指標があります。

この指標で、ほとんどの場合頭痛は60点満点で10点未満と低い点数、すなわち生活の障害があまりないという評価になります。しかし、実はじわじわとQOLとADL、健康寿命をむしばんでいるのです。