ミシシッピ州法に対する最高裁の判断が注目される

一方、米モンマス大学の世論調査によると、最高裁が「ロー対ウェイド判決」を維持すべきだと考える米国人が62%に達する一方、見直すべきだと答えた人は31%にとどまっている。

「ロー対ウェイド判決」にとって「最大の脅威」と言われるのは、今回のテキサス州法だけではない。2018年3月に成立し、下級審が、中絶する権利への攻撃だとして違憲判決を下したミシシッピの州法も懸念材料だ。

子宮外における胎児の生存可能時期を妊娠約24週とし、それ以前の中絶を合法とする「ロー対ウェイド判決」に対し、ミシシッピの法律は、妊娠15週目以後の中絶をほぼ全面的に禁じるものだ。その合憲性を判断する審理が今秋、最高裁で始まる。

多くの人が予想するように最高裁がミシシッピの州法を支持すれば、「ロー対ウェイド判決」は無効化するか、最高裁による同判決の解釈が根本的に変わるか、いずれかの事態になる可能性が高い。ミシシッピの州法をめぐる最高裁の決定が注目されるのは、そのためだ。

最高裁は来年、その判断を明らかにすることになっているが、同法が合憲とされ、「ロー対ウェイド判決」の無効化が現実となった場合、2022年11月8日の中間選挙、ひいては次期大統領選にどのような影響が及ぶのか。リベラル派の怒りが民主党の票に反映されれば、共和党に不利に働く。

中絶禁止は「ハラスメントの法制化」

米オンラインメディアアクシオス」の9月19日付スクープによると、テキサス州出身のベト・オルーク元下院議員(民主党)が、来年の中間選挙で実施される同州知事選への出馬を検討しているという。オルーク氏は2018年の中間選挙で同州選出のテッド・クルーズ上院議員(共和党)をあと一歩というところまで追い詰め、話題をさらった。

2020年大統領選・民主党予備選にも出馬したオルーク氏は中絶賛成派だ。9月1日にはツイッターでテキサスの州法を「違憲」とし、女性への「ハラスメントを法制化しようとするものだ」と、糾弾している。若手テック関係者などの流入増でテキサス州民の保守性が弱まっているといわれる中、オルーク氏の出馬可能性に注目が集まっている。