遠大な目標を立てて四苦八苦することを心配するかもしれない。だが毎日シミュレーションをしていれば、実現不可能な目標なんて絶対に立てることはない。私自身、10年後に1000億円を貯金するなんて、まず考えない。こうなると気になるのは目標の高さの加減だが、逆に毎日考えていれば、流行の洋服や目先の小金のことしか思い浮かばない人というのもまずいない。

それでは目標の立て方に悩む人はどうするか。ここで登場するのがウィッシュリスト、つまり願い事のリストだ。ちょっと長くなるが、冒頭で触れた共訳本の序文に、気になる人のためのヒントがあるのでそれを引用しよう。ちなみに、これも私と同様、女房が原作者バーバラ・アン・キプファーの序文から引用したものだ。

「『生きているうちに、私は……をしたい』。あなたは、こうした言葉を何回くらい口にしたことがありますか? そうした願いはすべてどうなったのでしょうか? どこへいってしまったのでしょう? 願いを抱くというのはすばらしいことです。願いというのは心の底から湧き出てくるものなので、ある重要なことについての情報を持っているのです。自分とは何者なのか、自分は何者になれるのかということについてです。願いを抱き続けるということは、幸せを追い求めるために必要な力を私たちに与えてくれることになるのです。それこそが、この『願いのリスト』が何のためにあるのかという問いかけに対する答です。時が過ぎ、あなたはきっと気付くでしょう。幸せとは一体どういうことなのかというあなた自身の考えが変化していることに。本当に大切なものとは何なのかというあなた自身の価値観が変化していることに。そして、あなた自身が人生で何を達成してきたのかということに」

思いつく端からでいい。つまらないことでいい。まずは目の前の紙に願い事を100、書き出してみてはいかがだろうか。

(西川修一=構成 小原孝博=撮影)
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