サイレントうつを防ぐストレスの逃がし方
では、どうしたらサイレントうつを予防できるのか。社内で試行錯誤した結果、最も良い予防策は「ストレスを逃がすこと」でした。
ニットで行っている施策を例に具体的なコミュニケーション方法をご紹介します。
(1)趣味や雑談など、仕事以外の息抜きができるオンラインの場をつくる
まず、オンラインで何でも話せる場をつくりました。そうした場は、一つや二つでは足りません。ニットではチャットルームを基点にした41個のオンラインコミュニティを設けています。そのうち、「業務に関するコミュニティ」と、「業務外に関するコミュニティ」にわけてはいますが、自分の趣味や興味のあるものに何個入っても構いません。
「業務外に関するコミュニティ」はプロの占い師がいる占いのコミュニティをはじめ、韓国沼と呼ばれる韓国ドラマやK-POPが好きな人が集まるコミュニティ、キャンプ好きのコミュニティなど、多種多様です。ニット代表の秋沢崇夫も、キャンプコミュニティで自身のおすすめグッズを披露しているようです。
このようなコミュニティの場は、非対面コミュニケーションしかできないメンバーにとって、心理的安全性の確保につながります。
(2)節目でオンラインイベントを実施する
昨年は「ZOOM飲み」という言葉も世間で話題になりました。友達同士のオンライン飲み会も良いですが、部署ごと、あるいは全社規模でオンラインイベントを企画してみましょう。季節の節目で忘年会や打ち上げ・ランチ会など、過去にイベントを実施していたタイミングで構いません。
ストレス発散と同時に、会社とのつながりを感じてエンゲージメントが上がります。また、人事側でも社員の状況を定期的に見ることができるので、サイレントうつの予防につながります。
ニットではお花見など季節ごとにイベントを行ってきました。一番盛り上がるのは「オンライン忘年会」で、例年100人ほどが日本全国、世界各国から参加します。開催時間は午後9時。家庭のあるメンバーの子どもの就寝時間や、海外在住者の時差を配慮して設定しています。ほかにも、ビンゴ大会やクイズ大会、絵しりとりなどまだ入社して間もない人でも楽しめるコンテンツにし、オンラインで完結する忘年会づくりをしています。
(3)困ったことがあったら相談できる窓口を用意する
テレワークだと後手になりがちですが、メンバーが何か困っていたらすぐに相談できる場をつくることはとても大切です。
ニットにはメンバーのケアや相談に乗ることがミッションの1つになっている「育成コーディネーター」がいます。特に、新入社員や部署に配属されたばかりでまだなじみがない人に対し、最低でも入社時に1on1、その後3カ月は毎月1回の1on1を実施しています。
入社時のように、相談する相手もいない状況でのテレワークは不安が大きいものです。相談する場をつくることは、メンバーの心理的安全性を確保することになり、「サイレントうつ」の防止につながります。それだけではなく、メンバーがのびのびと力を発揮できる環境へとつながります。業務で良いパフォーマンスを発揮するには、まずは心が健康でないといけません。
ストレスの原因が仕事量なのか、人間関係によるものかでも、ストレスのたまり方は違います。企業としても様々な施策を用意することが大切でしょう。