「ちょっと先」を考えられる人は何が違うのか

第2位は、落合陽一氏の新刊『半歩先を読む思考法』でした。

落合陽一『半歩先を読む思考法』(新潮社)

未来のことを考える――せわしない毎日を過ごす私たちにとって、これほど難しいことはないでしょう。具体的に何週間、何カ月、何年先かもわからない「未来」を考えるのは、どうしても優先度が低くなってしまいがちです。

本書の著者である落合陽一さんは「半歩先」、つまり「ちょっと先の時間」について考えることが好きだといいます。落合さんにとって半歩先の未来とは、五感の接続されているように感じる手触りのある時間。リアルに想像できる「ちょっと先の未来」を考え続けることがその先の未来へつながると書いています。

本書は、落合さんが2019年1月から2021年3月の2年間にnoteで書き記した文章を編集し、時系列に掲載したもの。SNSで炎上が起こる仕組み、わかりにくいコンテンツと思考の関係、加速度的な社会で自分を深化させる方法など、取り上げられるトピックは身近なものでありながら、落合さんらしい深い思索を楽しめる一冊となっています。

激動の時代を生きる私たちは、望ましい未来のためにどのように行動していくべきなのでしょうか。今を生きるすべての大人たちにおすすめしたい、たしかな示唆が得られる一冊です。

「論理的思考力」をストーリーとクイズから学ぶ

第3位には、『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』がランクインしました。

深沢真太郎『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』(三笠書房)

ロジカル・シンキング(論理的思考)と聞くと、逃げ出したくなる方もいるでしょう。そんなあなたには、考えるコツが楽しく学べる本書をおすすめします。

本書は、主人公・サオリと、サオリと新幹線で乗り合わせた大学院生・優斗の会話を中心としたストーリー&クイズ形式になっています。

物語は、広告会社に勤めるサオリが、出張帰りに新幹線「のぞみ」に乗り込むシーンから始まります。そしてふとしたことから優斗との会話が始まり、彼から「論理的に考える」コツを学ぶことに――というストーリーです。

本書で紹介されるのは、帰納法や演繹法を使った考え方から、素早く決めるためのコツ、発想法、問題解決のためのちょっとズルい考え方まで、仕事で便利に使えるものばかり。

例えば車内販売で買う飲み物をなかなか決められなかったサオリは、優斗に「いくつか選択肢があって悩んだとき、どう考えて最終的に選択をしているの?」と尋ねます。優斗が提案するのは、評価方法を1つに決めること。学園祭の模擬店の例を出して、その有効性を教えてくれます。

このように、身近な例を出しながら解説されるので、論理的思考に自信がない方でも、楽しみながら読み進めることができるでしょう。ビジネスパーソンにはもちろん、学生にもおすすめしたい一冊です。