日本の製造業にはなかった新たな事業モデルへ
ソニーGにとってハードとソフト両輪での成長を目指すのが普遍的な長期戦略であり、その成否は、バランスのとれた事業ポートフォリオを通じ持続的な成長を遂げられるかにかかる。
かつてコンピューター市場で圧倒的な勢力を誇った米IBMは、1990年台にコンピューターメーカーからの脱却を図り、コンサルティングを含むサービスとソフトウエア中心に舵を切り「2.5次産業」への転換を果たした。今でもクラウドコンピューティングで存在感を示している。
復活を遂げたソニーGが今後目指す方向はモノづくりにこだわりつつ、あくまで消費者と広くつながるソフト面の幅を広げる事業モデルである。これは、これまでの日本の製造業にはなかった新たな事業モデルであり、中期計画の間にその具体的な解を示せるかどうか――。「ソニーらしくない」と言われてきた吉田氏の経営手腕の真価が試される。