テック企業にはデジタルバンク設立のアセットがある

テクノロジーカンパニーは、デジタルバンクを設立するアセットが十二分にあります。資金的なことを言っているだけではありません。技術面においても、です。

今やサービスを始めるのに自前のサーバーを調達する必要はなく、クラウドサーバーを安価で使うことができます。他のプロダクトを作るのと同じ技術チームやスキームで、簡単に作ることができるからです。

そのため、旧来の金融サービスだけに精通している人や、同じく金融システムに詳しい技術者などを採用する必要性が下がります。

一昔前のいわゆるオンプレミスで巨大な、いわゆるレガシー的(旧来の)なハードに基づくシステムを構築することは、プログラミング言語が同じくレガシーなこともあり、コストがかかります。

しかしこれからの金融サービスは、これらのレガシーは必要ないのです。昨今のクラウドを使ったウェブアプリを開発するようなスキームで、十分構築できるからです。

自前のクラウドがあるから、一気通貫に銀行システムを構築できる

そしてここもポイントですが、彼らはそもそも最初からデジタルサービスを提供してきましたから、セキュリティについても徹底的に研究しており、強い。

もう一つ、クラウドを自前で持っている、という強みもあります。アマゾン、グーグル、などです。マイクロソフトもアジュールというクラウドサービスを持っていますから、今後、提携などもしながらデジタルバンクを設立する可能性は大いにあるでしょう。

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彼らは自前でクラウドを持っていますから、それこそ安価に、一気通貫に銀行システムを構築できますし、運用においても同じことが言えます。ローン、保険、証券など。金融サービスのあらゆる項目において、安く、スピーディーに提供できるのです。

対して、日本の金融機関はどうでしょうか。クラウドを持っていないどころか、システムは外部のSIベンダーに丸投げしている場合が大半でしょう。当然、そこにはフィーがかかっていますから、すべて自社で行っているアマゾンやグーグルがデジタルバンクに進出した際には、コスト面で不利になります。

GAFAをはじめとするテックカンパニーが、従来の金融サービスをほぼ無料で、そして自前の銀行で提供する。このような未来が迫っています。