三菱UFJは2023年度までに40%の店舗を閉鎖

現に、店舗は次々と姿を消しています。三菱UFJ銀行では2023年度までに2017年度末の約500から300に。40%もの店舗を閉鎖することを打ち出しています。アメリカの銀行も同様です。そしてこのような動きは加速し、いずれゼロになると私は考えています。

山本康正『銀行を淘汰する破壊的企業』(SB新書)
山本康正『銀行を淘汰する破壊的企業』(SB新書)

店舗がなくなるので、当然、そこで働いていた行員も今ほどの人数は必要なくなります。同じく三菱UFJ銀行ですが、数千人規模単位の人員削減を発表しています。

営業、特に個人営業の仕事は減るでしょう。個人の対応に関しては、データさえあれば、大抵のことに対応できるからです。ただし法人営業に関しては、現時点ではすべてがデータ化しきれないため、2025年の時点では残っていると思います。

しかし昔ながらの自転車に乗って顧客先を走り回る、いわゆる御用聞き。このような法人営業のスタイルならびに人材は、これから先の社会では減っていきます。

インフラがこれだけ発達した社会なのですから、電話やテレビ電話、昨今であればズームを使えば直接行くことなく、対面でのやり取りと近いサービスが提供できます。

もちろん、どうしても会わなければいけないケースもあるでしょう。そうした場合のみ、顧客先を訪問すればいいのです。当然ですが、効率化が進んでいるアメリカでは、リモートが前提の営業になっています。

エンジニアの採用需要は加速している

一方で、スマホアプリ(デジタルバンク)の新たなサービスを開発したり、運用やメンテナンスを行うエンジニアの採用需要は加速しています。

そして実際に業務を行うのは、エンジニアが開発したスマートフォン、デジタルバンク内のシステムやAIですから、そこも人からコンピュータに置き換わります。これは単に振込対応などを行っている窓口業務担当者だけではなく、バックオフィスで事業ローンの与信などを行っている人たちも該当します。

人員削減は銀行だけに限りません。ありとあらゆる金融業務がスマートフォン内で完結するわけですから、事業会社でこれまで経理や財務といったお金まわりの業務に就いていた人の仕事も、変わっていくでしょう。