「記事には公益性があり、抗議は筋違いだ」と朝日社説
5月25日付の朝日新聞の社説は、その後半で「架空の接種券番号でも予約できてしまう問題については、それを確かめたうえで報じた朝日新聞出版などが、防衛省から『悪質な行為』などと抗議を受けた」と書き、「しかし、取材過程における予約は真偽を確認するためで、その後キャンセルしたことから、希望者の機会を奪うようなものでもなかった」と指摘したうえで、こう主張する。
「誰でも予約できるシステムの問題点を指摘した記事には公益性があり、抗議は筋違いだ」
これもその通りだ。記事には公益性があるし、防衛省の抗議は道理に合わない。
朝日社説は前半で菅政権の思惑を次のように指摘している。
「自衛隊の医官、看護官を活用する構想は4週間前、事前の十分な調整のないまま、菅首相が打ち上げた。7月末までの高齢者接種の完了、1日100万回接種という目標を矢継ぎ早に打ち出し、自治体へのてこ入れを強める背景には、東京五輪開催に向けた環境を整えたいという思惑がうかがえる」
東京五輪を成功させ、自民党総裁選と衆院選に打ち勝ちたい
前述した毎日社説も書いていたが、菅首相は見切り発車をしたのである。私たち国民のことなど頭にはない。あるのは東京五輪を成功させ、その勢いに乗って自民党総裁選と衆院選に打ち勝ちたいという思いだけである。
朝日社説はこうも指摘する。
「この間、準備不足の影響は随所にみられた。システム上、自治体の接種との二重予約を防ぐことはできず、接種券番号の入力が必要なことから、順番に発送している自治体には苦情が寄せられた。送付の前倒しや番号を個別に知らせるなどの対応に追われたところもある」
国の大規模接種は始まったばかりで、まだ間に合う。自治体との調整をきちんと行い、私たち国民の命と健康をしっかり守れる政策を推し進めてもらいたい。