新たな“働く人の相棒”として登場

「2017年から販売する『クラフトボス』(CRAFT BOSS)が好調で、2019年、2020年と年間3000万ケースを突破。発売以来の累計販売本数は1億ケース=24億本を超えました。BOSSブランドが大きく成長した原動力は、まぎれもなくクラフトボスです」

こう話すのは「BOSS」グループ責任者の大塚匠氏(サントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部 ブランド開発事業部課長)だ。さらにこう続ける。

「BOSSは1992年の発売以来、ブランドコンセプトに“働く人の相棒”を掲げていますが、クラフトボスは“現代の働く人を快適にする新しい相棒”です。コーヒーの香りがありながらすっきりした味わいで、世代や職種を超えてご愛飲いただいています」

撮影=プレジデントオンライン編集部
ブランド開発事業部課長の大塚匠氏

深煎り豆で実現した「薄いコーヒー」

缶コーヒーのBOSSに対して、クラフトボスはペットボトル。形状も独特だ。深煎りした5種類の豆をそれぞれ粗挽きし、抽出したコーヒーをブレンドするという独特の製法をとっている。このため一般的なコーヒー飲料よりも薄味だが、この味を支持する消費者は多い。

「クラフトボスの開発当時、コンビニのカウンターコーヒーが売れに売れていました。そこで消費者インタビューをすると、苦味よりも優しい味を好む人もいた。さらに市場調査と議論を重ね、クラフトボスは、すっきり飲みやすい味に仕上げたのです。発売当時はここまで売れると思っておらず、この味を好むお客さまが多かったことは大きな発見でした」(大塚氏)

ブランド内のカニバリゼーション(シェアを奪い合う)も少なく、既存商品に上乗せする形で販売数量も拡大。コロナ禍の昨年こそ数字を落としたが、安定した売り上げを維持する中、今年3月23日に全面リニューアルした。

働き方が変わればコーヒーの好みも変わる?

発売して4年。ヒット商品に育ったこの段階で、なぜ刷新したのか。

「ヒットしたとはいえ、クラフトボスの飲用経験があるのは全体の36%。発売当時の新鮮味も薄れつつありました。この間に働く環境や人材像も変わり、コロナ禍で在宅勤務も進んでいます。働く人の相棒として、魅力を落とさず刷新しようと考えたのです」(同)

リニューアルで、見た目も味わいも変わった。本稿執筆時、競合のペットボトルコーヒーとも飲み比べたが、クラフトボスは一番すっきりした薄味に感じた。