また、場面を限定しない一般的な有能感もあります。これは、「自尊感情」と呼ばれているもので、成績、スポーツ、人間関係といったケースとは関係なく、自尊感情が高ければ、さまざまなことに「自分はできる」と思い、反対に自尊感情が低ければ、「自分は無能だ」と感じてしまいます。

なお、「自分は勉強ができる」とか「自分は勉強が得意である」という認識を、心理学では、「有能感が高い」とか、「肯定的な有能感を形成している」と言います。

反対に、「自分は勉強ができない」とか「自分は勉強が苦手である」については、「有能感が低い」とか、「否定的な有能感を形成している」と言います。

有能感を形成すればやる気は高まる

ここで有能感について説明してきたのは、有能感と「やる気」とは大きな関係があるからです。

外山美樹『勉強する気はなぜ起こらないのか』(ちくまプリマー新書)

「自分は勉強ができる」という肯定的な有能感を形成するとやる気が高まります。一方で「自分は勉強ができない、だから何をやっても無駄だ」という否定的な有能感を形成するとやる気が低下するのです。これはみなさんの実感ともあっているでしょう。

マイケル・ホワイトという心理学者による研究では、人間は誰でもこの肯定的な有能感を感じることによって、次なる行動に向かっていくやる気を持ち続けることがわかっています。

有能感は、やる気だけではなく、実際の行動においても良い結果をもたらす重要な要因になります。いかに、肯定的な有能感を形成することができるのかが、やる気を左右する重要なポイントであるといってもよいでしょう。

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