終業まで「まだ1時間もある」と「もう1時間しかない」、あなたはどう捉えることが多いだろうか。筑波大学大学院の外山美樹准教授は「物事のとらえかたは『説明スタイル』によって大きく変わる。自分がどんな説明スタイルを採りやすいかを知っておいたほうがいい」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、外山美樹『勉強する気はなぜ起こらないのか』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

オフィス
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです

無気力状態になりがちな人の特徴

友だちにあなたが傷つくようなことを言われた時、あなたはどう考えるかを想像してみてください。

ここでは、次の二つの選択肢のなかから選んでください。

A 友だちはいつも人を傷つけることを平気でいう。
B 友だちは虫の居所が悪くて、たまたま私に当たったのだ。

選択肢Aのように、起こってしまった悪い出来事を、「いつも」とか「決して」という言葉で考え、いつまでも続くと思っている人は、「永続的な」説明スタイルをとっていることになります。

一方、選択肢Bのように、「たまたま」とか「時々」という言葉で考え、状況を限定し、悪い出来事は一過性のものであると考える人は、「一時的な」説明スタイルをとっていることになります。

このように、なにかの出来事の理由を説明しようとする際の態度を「説明スタイル」というのです。この質問では、説明スタイルのうち出来事の「永続性」について尋ねたものになります。

すぐにあきらめて無気力状態になりやすい人は、自分に起こった不幸は長く続くもので、いつまでも自分の人生に影響を与えるだろうと考えてしまいがちです。「説明スタイル」でいうと、永続的であるといえます。

逆に、無気力状態になりにくい人は、不幸の原因は一時的なもので、長くは続かないと信じています。このように考える人は、一時的な説明スタイルの持ち主になります。