「笑顔の時間差」が相手との距離感を生む

また、表情筋を鍛えるのと同時に、表情をつくるタイミングも意識するようにしたい。相手の一言に対して、どのくらいの間隔で反応するかで、相手の感情は変わる。「笑顔の時間差」があってはいけないのだ。

駆け出しの食レポのタレントが、料理を口に入れた途端、「おいしい!」と声を上げるのに違和感を感じたことはないだろうか?

料理を口に入れてから、味を認知するまでには、少し時間がかかる。その間をきちんととっているか否かで、食レポのリアリティが変わってしまう。

同様に、相手の言葉への共感度は、表情が変わるまでのスピードで判断される。表情が変化するまでに「間」があると、相手は距離感を感じてしまう。表情が変わるスピードは、相手への共感と比例していることも知っておきたい。

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AIを使ったアプリで表情トレーニングを効率的に

一方で、自分の表情がどれだけの表現力を持っているのかを客観的に判断することも必要になる。

そのためにAIを活用するのも一つの手段である。

顔面認識の技術の進化とともに、表情と感情の関係について分析ができるAIの開発も進んできた。たとえばパソコンやスマホから表情を採点、評価できるアプリ「心sensor for training」がある。

このアプリで使われている感情認識AIは、今から40年以上も前にアメリカで開発されたFACS理論(=Facial Action Coding System、顔面動作符号化システム)のアルゴリズムを用いて開発されたものである。

世界87カ国以上から収集した900万件超の表情データを基にディープラーニングが行われているので、表情分析もユニバーサルであることも時代にマッチしている。