あえて仕事を“属人化”してみる
自分なりの価値判断の軸を持ち、実践法を見つけるのはアートに関わる基本的な態度ですが、これはビジネスの世界でも活用できる考え方です。このようにビジネスにアートの考え方を取り入れていくと、仕事がいい意味で「属人化」し、AIにはできないようなクリエイティブなアウトプットにつなげることができます。
昨今、ビジネスが、属人化を排除しようとする動きが見られ、効率化の観点からは理解できるのですが、あらゆる仕事から属人性をなくすと、とてもつまらない世の中になってしまう。仕事といってもいろいろなものがあり、あえてその人らしさを加えることで、よい結果を生み出せるケースもあるはずです。「私だからできること」を価値として認めることで、多様性があり生きやすい社会が生まれるように思います。
善悪や正誤といった二項対立で社会を捉えると生きづらくなる。唯一絶対の正解を追い求めていると、大半の人は「失敗した」という感覚にとらわれ、自分で自分自身を息苦しくさせてしまうのです。
ビジネスにおいても、アートと同様に、二項対立ではないオルタナティブな評価軸、メタ的な視点を自分なりに作ることをお勧めします。そうした生き方は、他人から見れば「何をやっているの?」「何の意味があるの?」と思われるかもしれませんが、それでも本人が幸せであればいいではないでしょうか。いずれ、突飛に思えるような行動が、自分の仕事とうまくつながることもあるはずです。