「ためこみ症」の3つの特徴
つまりは「なぜゴミ屋敷化しているのか」という客観的な判断、場合によっては医学的診断が必要になる。もちろん、物を集めるものの整理して保管し、生活障害を起こすことのない「収集家」は病気ではない。
「ためこみ症」の特徴は、①物を大量に集める、②整理整頓ができない(食べても置きっぱなし)、③物への執着が強くて捨てられない、という3つで、他の病気との大きな違いは「物を集めることで心が満たされること」(中尾教授)という。そのため、病気と自覚せず、自ら病院に行く可能性は非常に低い。
「ためこみ症の危険信号は、浴室やトイレ、家具など生活に必要な設備が物であふれ使えなくなること。“今の家に人を呼べるかどうか”も判断材料になるでしょう。
足の踏み場がないから恥ずかしくて呼べないという場合は、重症に差しかかっています。軽い症状だと、ソファやテーブルに服や紙類が山積みになって使えない状態が5~10年続く状態です。当たり前のことですが、あるべきところにあるべきものを置く。そのためのスペースを身近な人とつくっていけるといいですね」(中尾教授)
ヘルパーが入ることで部屋がきれいに保たれるケースも
その際、家族や身内との関係が良好であれば一緒に片付けを行ってもいいが、長年音信不通のような場合ではうまくいかないかもしれない。仮屋医師のもとに通うADHDで、ゴミ部屋化しやすい患者はヘルパーが入ることで部屋がきれいに保たれているという。
「潔癖症なのに家の中は散らかっているんですよね。特にコロナ禍になってから、診察に来る際も靴にビニールを巻き、手にもビニールをはめている。家では濡れティッシュやトイレットペーパーをたくさん使うので、それで部屋の中があふれてしまうようです」
「でも、ヘルパーさんがいるものといらない物を本人と一緒に選別し、『いらない物は捨てていきましょうね』とアドバイスして、部屋の通り道を確保するように導いてくれています。これが身内だと羞恥心が強くなり一緒に片付けることが難しい場合もあるでしょう」