本人は自身のことを有能だと認識しているのだが…

けれど、あるLDが教えてくれたところによると、

「そっと後ろで見てたことがあるんだけど、あれは嘘。1行書いては消し、1行書いては消しを何十回か繰り返して、最後に自分でソフトを閉じて、『消えた』って言ってるだけ。文章を書きたくないのか、書くのが苦手なのか、どちらにしたってねえ」

だとか。

また、審査結果がなかなか出ないなどで不満を募らせた入電者からきつい言葉を浴びせられると、しくしく泣き出して途中早退してしまったこともありました。かわいそうとは思うものの、同時にオペレーターという仕事上、ヘビークレームは避けて通れない道でもあります。社会経験も少なからず積んできているでしょうに、何を甘えているんだか……。

それでいて本人は自身のことを有能だと認識しているようで、管理者に仕事ぶりの未熟さを指摘されると、ぶんむくれたりします。結局周囲はこの人はこういう人なんだなと、別枠扱いで多くを求めないようにしていました。

「俺はここにいるべき人間じゃない、お前らとは違うんだ」

・五島さん(OP、男性・40代半ば)

いつもお尻を前にずらして足を投げ出し、デスクの下に潜り込んだような姿で椅子に座って入電を待っている姿が何とも異様でした。

一日中不機嫌そうな表情を浮かべ、周囲の誰とも会話を交わさず、〈俺はここにいるべき人間じゃない、お前らとは違うんだ〉といった雰囲気を漂わせて、休憩時間もいつも一人でいたものです。孤高を気取るのは御勝手に、なのですが、〈あなただってこの寄せ集め的な職場に生活の糧を求めてきたんじゃないの?〉と一度尋ねてみたいと考えていたのは、私だけではありませんでした。

こんな調子ですから、入電者への口調が事務的で冷淡だったのは言うまでもありません。その一方で感情の沸点がかなり低いのか、はたまたプライドばかりが肥大しているのか、電話対応や入電記録の書き方について管理者に何か注意や確認をされると、火がついたように食ってかかるところを何度も見ました。でも彼の残す記録の文章はわかりにくく要領を得ないため、いつも管理者がため息をつきながら、あとで修正を加えていたのですが……。

かつて企業に勤めていて退職し、次の仕事が見つかるまでの腰掛けでオペレーターでもやるか、と応募してくる中年男性によくいるタイプです。

・大神さん(OP、女性・30代半ば)

以前は持続化給付金の審査部門で勤務していたそうなのですが、その割に基礎的な知識もあやふやで、間違った案内を連発。入電者への言葉遣いがぞんざいである上、すぐ感情が高ぶって声が大きくなるので、〈仕事に差し支える〉と彼女の横に着台するのを避けていたOPは少なくありませんでした。こんな人が、きちんと審査業務をこなせていたのでしょうか……。