Twitterで宣伝したからって本が売れるわけじゃない

——普段は政治のことに触れない芸能人もハッシュタグ付きでつぶやいたりで。

【東】でもいまハッシュタグが乱立してるわけですよね。そうすると政治家もだんだんわかってくるわけですよ、ハッシュタグがあったって関係ないんじゃないかって。実際に選挙の票はピクリとも動かないじゃんっていうふうになっちゃったら、これは関係なくなる。人はどんどん学んでいくんで、いまみたいに無料コンテンツが世の中を動かす時代がどこまで続くかわからない。

これはぼく自身の実感でもあって、つまりTwitterで宣伝したからって本が売れるわけじゃないんですよ。商売の実体って結局お金じゃないですか。それを考えると、ホントにTwitterってむなしい世界で。だから逆に、Twitterですごく炎上して「東さんたいへんですね」って言われたって、ホントにたいへんなのは借金とかであって炎上なんてまったく無だと思っていた。

撮影=西田香織

——ダハハハハ! 現実社会でのしんどさのほうが大きくて(笑)。

【東】Twitterですごい評判になったからといって金が入るわけでもないし、なんなんだみたいな。だからある時期からSNSへの見方も変わっていった。

オンラインサロンと「ゲンロン」の決定的な違い

——ボクもTwitterを見てくれた人の一部が読者になってくれるか的な思いでやってはいるけど、そこまでの効果はあるのかなってちょっと思うんですよ。

【東】そうなんですよね。『ゲンロン戦記』にも書いたように、この数年ゲンロン友の会の会員がまた増えてるんだけど、入会者はぼくのTwitter経由じゃなくて、どっちかというとゲンロンの何かの動画を何かのきっかけで買って、それがけっこうおもしろいから入るとかになってる気がするんですよね。

ぼくはオンラインサロンとゲンロンの違いっていうのをよく言ってるんですが、オンラインサロンっていうのは基本的に内側と外側があって、外側はサロンの中はまったく見えなくて、内側は会員だけが見えるんですよ。ウチは会員ビジネスなんだけど、バラ売りで外から単体でかなりのコンテンツを買えるようにしてる。なんでそれをするかというと、バラ売りに出会ったのをきっかけにだんだん会員になっていくっていうことが起こるんですよね。バラ売り層を作るのがウチのモデルの特徴で、そこの部分が一番宣伝効果があるんですよね。

ふつうのオンラインサロンだと内側と外側を完全に区別して、内側に入ると外のヤツに対しては「ここに入ればいいこと起きるよ!」っていう空手形みたいなものを切って、一定数騙されればいいや、みたいになってるんだけど、ウチはそこの人たちへのお試し商品をいっぱい作ってる。だからゲンロン友の会の会員は3500人ぐらいなんだけど、その周りにおそらく3~4倍の規模のファンがいる状態が作られている。それを今後、何倍にするかっていうところなんですよね。