怒りの源泉は原始的な「トカゲ脳」にあり
不安とともに私たちを翻弄させる感情が「怒り」です。
カーッと頭に血が上って青筋が立ち、全身ワナワナ……怒りというのは原始的な感情です。このとき活性化するのは「トカゲ脳」とも呼ばれる大脳辺縁系。は虫類にもある、生きのびる本能を司る脳で、短絡的、攻撃的です。
太古、人間はほかの動物と同じように、敵を察知した瞬間に「闘うか逃げるか」を決めて飛びかかったり、あるいは全力で逃げたりして生きのびました。そのとき、「怒りのホルモン」であるアドレナリン、ノルアドレナリンなどが大量に放出され、心拍数も血流もどっと増えるため、「火事場の馬鹿力」を出すことができたのです。
「このハゲーッ!」事件を仕出かさないために
しかし、文明化された現代社会で怒りのままに動くと、ロクなことになりません。怒りの性質も変質して、欲求不満やイライラを相手にぶつけてスッキリするためなど、自己満足のための怒りがかなりの部分を占めています。
以前、女性の国会議員が「このハゲーッ!」などと秘書をののしる音声を週刊誌にリークされて、たちまち社会的地位を失う事件がありました。
このように怒りの伝え方を間違えて大失敗する人はとても多く、「アンガーマネジメント(怒りをコントロールするスキル)」はいま、心理学の大きなテーマです。
6秒カウントダウンのすすめ
怒ることそれ自体は悪いものではなく、ナマの怒りを相手にぶつけることが問題。もしカッとしたら、6秒間カウントダウンすると、怒りのピークをやりすごせます。
自分の怒り虫に「カンカン」などと名前をつけて、「また怒ってる。あんまり暴れないでくれよ」などと話しかけたりするのも、よいクールダウン法です。
手が出そうならその場を離れて、クッションなど別のものをボコボコ叩きます。少し気分が落ちついたら、自分はなにに腹を立て、相手にどうしてほしいのか、「怒りの傾向と対策」を分析します。
こうした「自己洞察」のスイッチが入っていれば、相手を傷つけずに自分の怒りをわかってもらう表現を考えられます。