どんな感情も放っておけば収まる

そこで、「どんな感情も、放っておけば収まる」という整理術をおすすめします。

不安がわいたら「○○のことで、私は今とても不安です」と口に出して受け入れ、5回ぐらい、ゆっくり深呼吸。これでコルチゾール濃度が下がってラクになります。

そして「すぐ動く」。背伸び、机の片付け、お茶を飲む……。人間の「心の器」は思うより小さく、立ち上がった瞬間に別件が浮かぶなど、感情はかんたんに入れ替わります。

また、体調が悪いなら検査を予約する、お金がないなら副業を探すなど、不安解消に向けて「なにかやってみる」と気分も変わり、悩み続けるよりはるかに有意義です。

「日課」と「お楽しみ」のすすめ

日課も心を安定させます。

長寿の職業のひとつである「お坊さん」を見てみましょう。早起き、掃除、お供え、読経など多くの「お勤め」を毎日欠かさず行うことが、心の安定につながっています。その姿を見習って、朝食を作る、ラジオ体操、草花の世話をするなど“日課”を決めて無心に実行すると心が安定します。早歩き、なわとびなど、リズミカルな有酸素運動も効果的。

「お楽しみ」も大事です。私の患者さんの多くは、うつ病や不安障害を抱えていますが、ほぼ全員まじめな完璧主義者で、気分転換が苦手です。

「おいしいものを食べたい」などの欲望にも罪悪感を覚える人が多くいます。心からやりたいこと、楽しいこと、好きなものをぜひ見つけてください。

心に余裕ができると、「不安はみんなにある。いちいちビビってたら身が持たない」「放っておけば消える」と開き直ることができたり、「まてよ、データにもっと当たってみよう」「相談窓口をさがそう」と、視野が広がって客観的に考えられるようになったりします。

こうして不安を「生きている証」として楽しめるようになったら、天下無敵です。