静岡銀行と山梨中央銀行は県をまたぐ広域連合へ

菅首相の発言を見据えたように地銀の再編はジワリと動き出している。静岡銀行と山梨中央銀行は10月28日、業務提携することで合意した。両行は相互に出資する資本提携も結ぶ予定で、県をまたぐ広域連合が誕生することになる。

両行は2019年に地方創生を目的に連携協定を結んでいたが、将来的なシステムの共同化なども視野に入れた包括提携に踏み込む。圧倒的なシェアを誇る静岡、山梨両県の営業基盤をベースに、手を携えて収益性の高い東京都などの巨大経済圏に打って出るのが狙いだ。

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同様に地銀トップの横浜銀行と千葉銀行も2019年に業務提携しており、メガバンクを含め首都圏での競争は激化している。

「SBI地銀」は福島、島根、筑邦、清水、大東の5行に資本出資

こうした大手地銀の再編が動き出す一方、経営不振銀行の駆け込み寺となっているのが、SBIホールディングス(北尾吉孝社長)が進める「地銀連合」だ。

SBIは子会社の「SBI地銀ホールディングス」を通じて、これまでに福島、島根、筑邦、清水、大東の5行に資本出資した。さらに10月23日には、群馬県を地盤とする東和銀行に出資、東和銀行もSBIホールディングスに出資すると発表した。

※編註:初出時、「福島、島根、筑邦、大東の4行に資本出資」としていましたが、正しくは「福島、島根、筑邦、清水、大東の5行に資本出資」でした。訂正します。(11月17日14時45分追記)

自民党もSBIの「地銀連合」に期待を寄せている。自民党の「地域金融機関の経営強化策を検討する小委員会」(片山さつき委員長)は10月29日に初会合を開き、地銀の収益力強化について議論を開始したが、初会合にはSBIホールディングスの北尾吉孝社長が招かれて講演した。菅首相のブレーンの一人で地銀再編のキーパーソンとみられる北尾氏が招聘されたのは意味深長だ。

北尾氏は地銀連合には10行程度の地銀の参加が見込まれるとしており、残る地銀はどこなのかと市場関係者は固唾を飲んで見守っている。なぜならSBIが出資した地銀の株価が軒並み上昇しているためだ。