菅義偉首相が地方銀行について「再編も一つの選択肢になる」と語ったことで、地銀再編に注目が集まっている。さらに、地銀再編のハードルを下げる独占禁止法の特例法が11月27日に施行される。東洋大学国際学部の野崎浩成教授は、「特例法を制定するまでもない。都道府県を市場の単位とする考え方は時代錯誤だ」という——。

※本稿は、野崎浩成『消える地銀 生き残る地銀』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

記者会見する菅義偉官房長官=2020年9月3日午前、首相官邸
写真=時事通信フォト
記者会見する菅義偉官房長官=2020年9月3日午前、首相官邸

注目すべきは「東北地方の北部」

菅義偉首相の発言で地銀再編への機運が高まる中、「単刀直入にどことどこが再編するか教えてほしい」というところでしょう。しかし、再編はきわめてナイーブな問題であり、また様々な要素が加わった化学変化で奇跡的に出来上がるものです。また、勝手に組み合わせを予想すると、お叱りを受けてしまうことがあります。もちろん、株価への影響もありますので、慎重な取り扱いが必要です。

そこで、あくまでも「頭の体操」として、このような組み合わせができれば素敵だなというものを最後にお示ししたいと思います。ですので、確固たる根拠に基づく見通しなどでは決してなく、ブレインストーミングで出てきそうなもの程度でご理解頂ければ幸いです。

また、単なる組み合わせで終わるのも面白くありませんので、各銀行あるいはグループの特徴的な取組みをご紹介しながら述べていきたいと思います。

東北地方の特に北部は、地銀再編で注目している地域です。

青森県を地盤とするみちのく銀行と青森銀行が、2019年10月に包括的提携を発表しました。両行は以前からATM共同化やメール便の共同運行などによる業務効率化に取り組むなど協力関係にありましたが、提携関係をさらに進めて、顧客サービスの強化と経営効率の向上の両面での協働を図るというものです。