菅政権が発足し、地銀再編への圧力が高まっています。地銀の歴史的な背景と今をざっと振り返り、これからの資産づくりのあり方について考えます。
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※写真はイメージです(写真=iStock.com/Drazen_)

今度こそ、再編は進むのか

菅内閣がスタートしました。政策の目玉のひとつに地銀再編が掲げられていますが、これは日本経済の抜本的構造変化に立脚すればいよいよ不可避なことで、すなわちわが国の戦後20世紀型金融メカニズムの終焉を意味しています。

地方銀行は各都道府県に隈なく独立して存在し、旧相互銀行の第二地銀も同様にあることも合わせると100を優に超える数の銀行があり、各行が地域生活者の貯蓄資金の大半を預金として集めているわけです。

そもそも高度経済成長期に果たした銀行の社会的機能として、国民が持つお金を預金として銀行に集め、それを銀行が貸出しというカタチでフルに日本の産業育成資金として融通した結果、産業界は発展し、銀行に多くの金利を支払うことで預金者は銀行から相応の利息を得ることができました。これは預金行為によって経済成長から得られた配当だったと言えますが、そこには敗戦国の日本政府に終戦後の産業復興を支える資金が枯渇している他方、耐乏を強いられながらも戦中を生き抜いてきた国民には各自の貯蓄が残存していることが根底にありました。そのお金をタンスから銀行にシフトしてもらえば、銀行経由で産業育成資金が捻出可能になるという、いわば国民財産を拝借して国家再生に有効活用することを目的とした、窮余の戦略的な国策として銀行は大いに存在意義を有していたのです。