北尾氏の「ターゲット」として取り沙汰される4地銀

北尾氏が狙う次の地銀はどこか。市場では次の4地銀の名前が取り沙汰されている。

栃木(栃木県)、筑波(茨城県)、福邦(福井県)、長野(長野県)の4行である。いずれも同一県内に強力なライバル地銀があり、収益圧迫要因となっている。

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写真=iStock.com/Vonkara1
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栃木銀行には足利銀行、筑波銀行には常陽銀行、福邦銀行には福井銀行、長野銀行には八十二銀行という県を代表する有力地銀がある。しかも、足利銀行と常陽銀行は手を組み、北関東で強者連合「めぶきフィナンシャルグループ」を形成している。

「県の指定金融機関を務めるこれら有力地銀は、自治体との強固な関係をベースに県内の有力企業取引を独占、メインバンクとなっている。同一県内の競合他行は中堅・中小企業、個人に活路を見いだすしかない」(地銀幹部)という苦しい状況に置かれている。

規模に応じて20億~30億円を補助、返済は不要

今回の日銀の「特別当座預金制度」の発表を受け、地銀の株価は軒並み上昇したが、中でも値上がり上位にはSBIが出資する島根銀行のほか、SBIグループ入りが市場でささやかれる筑波銀行横浜銀行と強者連合をつくる千葉銀行などの名前が並んだ。

また、統合の思惑が浮上している青森銀行とみちのく銀行、福井銀行、宮崎太陽銀行の株価上昇も目立った。次の地銀再編はどこなのかが、市場の最大注目点のひとつになっている。

政府は地域金融機関の再編を促すための補助金「資金交付制度」を2021年夏にも創設する方向で検討に入った。地銀や信金が合併・経営統合に踏み切った場合、国がシステム統合などの再編費用の一部を補助するもので、金融機関の規模に応じて20億~30億円を補助する。返済は不要だ。