このままではコロナ不況の「第二波」がくる
マスク配布はともかく、定額給付金や持続化給付金の「政策目的」は、資金繰り破綻を防ぐことだった。売り上げが「消えた」中で、迫る月末の支払いを賄うキャッシュが必要だったのだ。だから「公平さ」を度外視してでも、「早く」配る必要があったのだ。事業者から「遅い」という批判が上がったのはこのためだ。
批判は浴びたものの、こうした給付金支給で、事業者の破綻が激増することを防げたのも事実だろう。東京都など自治体の休業補償も「金額が少ない」といった批判はあったものの、「つなぎ」の役には立っている。
問題は、これからだ。GDPの数字は前の3カ月との比較なので、まがりなりにも事業を再開したところが多い7~9月は、4~6月に比べて大きなプラスになることは確実だ。だが、それは一種の数字のマジックで、回復過程に入ったという話ではない。発表される11月中旬は、年末賞与の大幅なカットや残業代の削減、あるいはリストラなどが表面化し、国民の景況感はさらに厳しさを増しているに違いない。放っておけば、消費がさらに激減して、コロナ不況の「第二波」が襲うことになりかねない。
そうした経済の底割れを防ぐには、年末年始の需要期の消費を喚起するための政策を打つことだ。その具体策や予算、規制改革を決めるには早いうちに国会を召集して法律を通す必要がある。その原案を作るのは今だ。安倍首相も政治家も霞が関の官僚たちも、夏休みをとっている場合ではない。