内閣支持率は「過去最低」にまで低下

「後手後手に回っている」「なぜこのタイミングなのか」——。新型コロナウイルスの蔓延に対して安倍晋三政権が打つ対策がことごとく不評だ。

閣議に臨む安倍晋三首相(中央)ら=2020年8月11日、首相官邸
写真=時事通信フォト
閣議に臨む安倍晋三首相(中央)ら=2020年8月11日、首相官邸

NHKが8月8日から3日間行った世論調査では、新型コロナへのこれまでの政府の対応について、「まったく評価しない」(16%)と「あまり評価しない」(42%)が過半数を突破、「大いに評価する」とした人は4%にとどまった。「ある程度評価する」(34%)を合わせても、批判的な声に及ばなかった。こうした対策への批判もあって、内閣支持率は34%と第2次安倍内閣発足以降、最低水準に低下。「指示しない」と答えた人が47%に達した。高い支持率を維持してきた安倍内閣の足元が大きく揺らいでいる。

「アベノマスク」と揶揄やゆされた全戸2枚のマスク配布、右往左往の挙げ句に決定した国民ひとり10万円の定額給付金、中小企業や小規模事業者に対する「持続化給付金」そして「家賃補助」、東京都発着を除外して前倒しで実施を決めた「Go To トラベル」。いずれもことごとく批判を浴びる結果になった。

国民の「期待」と政府の「政策目的」がズレている

なぜか。それは政策目的と政策が合致していないからだ。言い換えれば、国民の「期待」と政府の「政策目的」が決定的にズレている。

端的な例が6月末で打ち切られた「キャッシュレス決済によるポイント還元」だ。その政策目的は、2019年10月の消費税率引き上げによる消費の下支えだった。

終了間際の6月11日時点での加盟店登録店は115万店。2019年10月1日~2020年3月16日の対象決済金額は7兆2000億円で、消費者に還元された金額は2980億円にのぼった。

当初予算では還元分として1800億円を見込んでいたが、すぐに不足となり、2019年度の補正予算で1500億円を補充。4月には2020年度の補正予算でも755億円を追加計上した。予算を大幅に上回ったということは、当初見込んでいた以上の政策効果があったということだろう。

それにも関わらず、政府はあっさり6月末でキャンペーンを終了してしまった。しかも、新型コロナによる緊急事態宣言を解除、消費を支える政策が必要な時に、打ち切ったのである。延長すべきだという議論はほとんどなされなかった。

不思議である。消費を下支えする効果は乏しいという判断なのか。消費増税の影響は吸収されたから、もはや不要になったという理屈なのか。