参加するにはマイナンバーカードが必須

マイナンバーカードの所有者に、キャッシュレス決済で最大5000円分のポイントが還元される総務省の「マイナポイント」制度が9月1日から始まった。総務省は広告宣伝に力を入れ、PRに必死だが、消費者の反応はさっぱり。予算では4000万人の応募を見込んでいるが、開始直前の8月30日時点での申し込みは467万人と1割強にとどまっている。

総務省、警察庁、国家公安委員会などが入る中央合同庁舎第2号館(東京都千代田区霞が関)=2020年5月3日
写真=時事通信フォト
総務省、警察庁、国家公安委員会などが入る中央合同庁舎第2号館(東京都千代田区霞が関)=2020年5月3日

マイナポイント事業は、マイナンバーカードを持つ人が、買い物をして電子マネーやQRコードなどで決済した場合、25%分のポイントが還元される。25%というと一見大きく感じるが、還元されるポイントは5000円が上限だ。

しかも、利用者は、事前にポイント還元を希望するキャッシュレス決済事業者を1つだけ選定。マイナンバーカードを使って専用サイトから申し込んで、紐付ける必要がある。この手続きが面倒で、申し込みが増えない一因だと指摘されている。

また、還元事業は9月1日から来年3月末までの、7カ月だけの期限付きだ。つまり1回こっきり5000円だけというキャンペーンなのである。

もちろん、マイナンバーカードを持っていなければ話にならない。参加するにはマイナンバーカードが必要だから、持っていない人はカードを作るところから始めなければならない。とにかく面倒くさいのだ。

「景気対策」ならキャッシュレス還元で十分だった

いったいこの「マイナポイント」制度、政府は何のために始めたのだろう。

建前はあくまで「景気対策」だ。2019年10月から消費税率が10%に引き上げられた後の消費活性化策というのが総務省が書いた「絵」である。新型コロナウイルスの蔓延が始まる前の話だ。

2019年12月の閣僚会議に総務省が出した資料にはこう書かれている。

「消費税率引上げに伴う需要平準化策として、東京オリンピック・パラリンピック後の消費を下支えする観点から実施する。あわせて、キャッシュレス決済基盤の構築を図る」

ところが、資料には2478億円の予算を投じるとは書かれているものの、肝心の「経済効果」については記載されていない。景気対策のはずなのに、その効果がまったく示されていない。キャッシュレス化が進むことで、消費が増えるという論理かもしれないが、その段階では経済産業省の「キャッシュレス決済によるポイント還元」が始まっていた。

個人商店などでキャッシュレス決済で買い物や飲食をした場合、5%が還元される仕組みとして、2019年10月1日から実施された。2020年6月末で終了したが、この間、7兆円以上が決済され、ざっと3000億円が消費者に還元された。

新型コロナの蔓延で現金を手渡しするのを嫌がる消費者が増えたことなどもあり、予想を大きく上回る成果を上げた。5%分が戻ってくるのだから、消費増税分の一部を帳消しにすることにもなり、消費対策、経済対策としては効果があったとみて良いだろう。