定額給付金10万円の支給の遅れにもかかわらず、普及率がいまだ2割弱のマイナンバーカード。5月25日にその申請方法が変わったのをご存じか?
2020年5月8日、新型コロナにともなう給付金の手続きで、多くの住民が訪れた窓口。東京都練馬区役所にて。
写真=読売新聞/アフロ
2020年5月8日、新型コロナにともなう給付金の手続きで、多くの住民が訪れた窓口。東京都練馬区役所にて。

“お上”に私有財産を把握されるのはイヤ

日本国内の住民票を持つ国民すべてに、1人に1つずつ個人番号が付与されるマイナンバー制度。2016年に発足したものの、普及は遅々として進まず、今年3月の時点でようやく15%。新型コロナウイルスの感染拡大にともなう特別定額給付金10万円のオンライン申請が可能となったことで、短期間に申請者が急増。数カ月で普及率が数%上昇したとの観測も出ている。面倒で放置している者はともかく、多くの国民は、“お上”に私有財産を把握されることに根強い抵抗を感じているのがよくわかる。

とはいえ、普及率はまだ2割弱だ。もし「マイナンバーカード」がすでに100%近く普及していたら、給付金もずっと迅速な口座振り込みが可能だったろうし、そもそも特定の世帯に一律30万円を現金支給する当初案を、「減収した世帯を正確に把握できないから」という理由で断念はしなかったかもしれない。

ただ実際には、マイナンバーカード発行と給付金の手続きの現場となった各自治体の窓口では、相当の混乱があったことがすでに報じられている。政府のオンラインサービス(マイナポータル)のシステム障害や窓口の大混雑。果ては混乱の末に支給を中止する自治体も現れた。「給付金がまだ来ない」「遅い」などと安倍政権批判の格好のネタにされたのも、理由がないわけではなかったのだが。