経産省の目的は「消費の下支え」ではない
このキャンペーンを所管していた経済産業省は、クレジットカードや電子マネーなど、キャッシュレス化の普及拡大を目指している。消費増税後の反動減対策として売り込んだものの、経産省からすれば、それは「建前」で、本当の「政策目的」はクレジットカードなどの普及向上、利用向上にあったはずだ。
このキャンペーンは、還元額は当初予想より多かったが、キャッシュレス決済の普及という観点では今ひとつだった。もともとカードやポイント決済を行っていた若者世代の利用が多く、高齢者へのカード普及は思ったほど進まなかった。経産省が継続を強く主張しなかったのは、そんなところに理由がありそうだ。もともと消費の下支えのための政策だとは思っていなかったのだろう。
総務省が狙う“二匹目のドジョウ”
6月末時点で、経産省がご執心だったのは、企業に直接助成金をばらまける持続化給付金。6月にはその委託事業を受託した一般社団法人が、電通に再委託していた事が表面化。経産省と電通の“癒着”が疑われる事態になっていた。そんなドタバタもあったためか、あっさりとポイント還元事業は終了したのだ。
本来ならば、1回作った還元の仕組みを利用するほうが、新しい経済対策を始めるよりもコストもかからず、迅速に実施できるはずだが、国民生活より省益が優先ということなのだろうか。
それに代わってスタートしたのが、総務省の「マイナポイント」だ。紐付けたクレジットカードなどで買い物をすると、上限5000円分のポイントがもらえるというものだ。
もちろんこれは景気対策ではない。国民に不評で一向に普及が進まないマイナンバーカードを普及させるのが政策目的だ。マイナポイントの「お得感」を出すためには、経産省のポイント還元キャンペーンは邪魔という事だろう。経産省から総務省に「釣り場」を譲るかのように交代した。狙いはともかく利用が予想以上だった経産省のキャンペーンの“二匹目のドジョウ”を総務省が狙っているのは明らかだ。