香港やコロナ問題で中国と対立しているが…
こうしたシナリオの真偽がこのタイミングで分かるはずもない。しかし、豪中2カ国をめぐっては、現在、香港で導入された国家安全法をめぐる問題に加え、新型コロナウイルスの情報公開の要求などで真っ向から中国と対立している。
訪豪するインバウンド客だけでなく、鉱物資源の輸出や中国人留学生の受け入れなど、経済への中国依存が極めて強かったオーストラリアだが、ここへきて手のひらを返すように態度を硬化しており、中国側の不興を買っている。「危険な種子の送りつけ」が、攻め手に事欠いて仕掛けられた新たな作戦だと定義づけられたら、オーストラリアを含む各国政府の怒りはさらに高まることだろう。
多国間にまたがる大きな問題となった「ナゾの種」。新型コロナウイルスの拡散がなければ、「どこかからダイレクトメールが来た」くらいのことだっただろう。今回の出来事は、どこかの国に自分の個人情報が漏れている、得体不明の物品が手元にやってくるというリスクが突然もたらされることを思い知らされた。
ある国への攻撃ではないまでも、1通の手紙が届くことで災難が降りかかるかもしれない。新たな危険への気づきをもたらした事件と捉えるべきだろう。