トランプのバカさは「名人芸」級

——家庭内にバカがいたらどうしたらいいのでしょうか?

【ジェームズ】よくあるケースですが、とても難しい問題だと思います。なるべくバカを遠ざけることでどうにかしのいでいる場合が多いのではないでしょうか。たいていは、何らかの事情があって離婚できない妻が、バカ夫となるべく関わらないよう、話をしないで済むよう努力しています。妻は心の健康をどうにかして維持しなくてはならないのですが、それ以上どうすることもできないのです。

ジャン=フランソワ・マルミオン編、田中裕子訳『「バカ」の研究』(亜紀書房)

——2016年、あなたは、トランプの大統領就任における危険性を指摘した『くそったれ ドナルド・トランプ理論』(
Assholes: A Theory of Donald Trump
, 未邦訳)を上梓しました。トランプはやはり超絶大バカ野郎なのでしょうか、あるいは逆にしたたかな賢い人間なのでしょうか?

【ジェームズ】トランプは超絶大バカ野郎……いや、ハイパーメガ級大バカくそ野郎ですよ。つまり、あの男は並みいるバカどもを差し置いて、そのバカの名人芸によって尊敬と称賛を集めるほどのバカです。通常、バカどもはバカの王様(あるいは、バカ大将)の座を巡ってデッドヒートを繰り広げるものですが、あれほど立て続けにバカなことばかりしでかすトランプの前には、誰ひとり足下にも及びません(おっと、例外がひとり。北朝鮮の金正恩を忘れてはいけません)。トランプとバカを競いあった者たちは、のちにたいていは従順なしもべになり下がります(ニュージャージー州元知事のクリス・クリスティのように)。

天才ルソーも私人としては「ほぼバカ」

——哲学者にもバカはいますか?

【ジェームズ】その点で言うと、18世紀の哲学者、ジャン=ジャック・ルソーが興味深いと思います。〈利己心〉についてのルソーの考察は、バカの自己中心的な思考と、それによって引き起こされる弊害の大きさを理解するのに、非常に重要な文献です。ところがそのルソー自身は、実の子どもたちを孤児院に捨てるという利己的な行動をしています。ルソーは哲学者としては天才ですが、私人としてはバカに近いと言えるでしょう。

——バカについて書いた貴著『くそったれの理論 (Assholes: A Theory, 未邦訳)』を読んだバカたちの反応は?

【ジェームズ】喜んでくれていますよ。あたたかいメッセージをたくさんもらいました。

「この本を書いてくれてありがとう。子どもたちからもらったのですが、これを読んで気づきました。わたしは間違いなくバカです」
「素晴らしい! 実によく書けているね!」

ただし、「これからは生き方を変えます」「もう今までのような行動はしません」と言われても、それは難しいとは思いますけど。わたしが個人的に知っているバカたちについては、本書を読んだかどうかわかりません。できるだけ関わりあいたくないですからね。

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