知性の高さは、バカになるかどうかとは関係がない
——物知りで頭がよい人でも、大バカのくそ野郎になることはありますか?
【ジェームズ】そこまでひどいバカかどうかはわかりませんが、頭がよくてもバカになることはあります。わたしの考えでは、知性の高さは、バカになるかどうかとは関係がありません。むしろ、変に頭がよいせいで、ほかの人たちを見下してバカになることもあります。知性のほかに、裕福、ルックスがよいといった特徴があると、自分を高く評価しがちで、他人からもちやほやされやすい。つまり、恵まれた人のほうがうぬぼれバカになりやすいと言えるでしょう。
——そうすると、バカとは、知性の高さの問題ではなく、社会生活でどういうふるまいをするかによるということですか?
【ジェームズ】まさしく、バカかどうかは社会でどういう言動をするかで決まります。その一方で、これは心の問題でもあります。バカは他人より自分のほうが価値が高いと勘違いしています。だからどんな状況であっても、まわりが自分に合わせるのが当然だと考えるのです。また、バカの友人の中には、バカの要求に嬉々としてしたがってしまう者がいます。ここには、ある面では集団力学上の問題があるのですが、その底にはもっと個人的で根深いものがあるので、治すのはなかなか難しいと思います。
自覚したぐらいでバカは治らない
——自分のバカなふるまいを自覚しても、バカはバカのままなのでしょうか?
【ジェームズ】困ったことに、自分がどういう行動をしているかを自覚していて、それを誇りに思っているバカはたくさんいます。「ああ、そうさ、おれは確かにバカだよ。だから何だ? おまえに文句を言われる筋合いはない」というように。だから、自覚したくらいではバカは治りません。バカの要塞の内側に閉じこもっているので、それを問題にするなど考えもしないのです。
ただ、絶対に変われないわけではないと思いますよ。大病をしたり、自動車事故に遭ったり、近親者が死去したり、という苦難を体験することで、少しは変われる者もいるでしょう。あるいは、歳をとったせいで変わる場合もあります。バカなことをするだけの体力がなくなったり、男性ホルモンのテストステロンが減少したりするせいで。でも、それもめったにあることではないので、あまり期待しないほうがいいと思います。いずれにしても、自覚したくらいでバカがバカでなくなることはまずないでしょうね。