「強さを見せつけ上に立とう」というオスの本能
——成人におけるバカの割合はどのくらいですか? 10パーセント? 50パーセント?
【ジェームズ】国、地域、環境などによって異なります。アメリカはカナダより多く、イタリアやブラジルは日本より多い。まあ、日本はたいていの国に比べて少ないと思いますけど。時代によっても変わります。マスコミの報道を見る限り、アメリカは昔に比べると今のほうがずっと多いようです。でも、さすがにどんな国でも50パーセント以上ということはないでしょう。社会は、そこに暮らす人たちの協力と節度によって維持されていますが、どちらの能力もバカには欠けているからです。バカが50パーセントもいると社会が成り立たなくなってしまいます。
——どうしてバカがこんなにたくさんいるのでしょうか。生物の進化がそうさせたのですか?
【ジェームズ】確かに、バカが霊長類の本能と関連していることは間違いないと思います。自らの強さを見せつけて、集団のトップに立とうとするのは、霊長類のオス特有の行動です。自分がまわりより優れていると思いこんでいるバカは、それと同じことをしているわけです。でも、文明が発達し、体制が整えられた社会では、そうした要因が決定的になることはないでしょう。こうしたバカの出現は抑えられるはずです。現代では、個人主義がもてはやされるわがアメリカのような国で、とくにバカが大きな問題になっていると思います。
バカへの対処法は「隔離」しかない
——バカにはどう対処すべきでしょうか。バカは治るのですか?
【ジェームズ】バカが治るとは考えにくいので、関わらないにこしたことはないでしょう。職場に大バカ野郎が居座っていることがたまにありますが、それはその人が会社に何らかの利益や名誉をもたらすからだと思います。心理学者のロバート・サットンが、著書『チーム内の低劣人間をデリートせよ』〔邦訳:パンローリング〕でバカの取り扱い方法を説いていますけど、残念ながら必ずしもうまくいくとは限りません。だから、どんな手を使ってでもバカを隔離する方法を見いだすのが一番です。
そして、そのためには全員で一致団結しなければなりません。こちらが仲間割れをすると、バカはその隙を突いてのさばろうとします。一般社会のように大きなグループより、職場のような小さなグループでのほうがバカを隔離しやすいと思います。でも、一般社会でもバカを減らすためにできることは必ずあるはずです。ただ、バカはこちらがすることをいちいち邪魔するので、かなり難しい作業になることは間違いないでしょう。