作戦その1:子供がやりたい放題できるスペースを確保しよう
在宅で仕事をする親にとって何よりもありがたいのは、子供が「一人遊び」に没頭してくれることだ。高山教授はまず、外出自粛期間限定で室内に「やりたい放題できるキッズスペース」を用意するといいという。たとえば、親がリビングのダイニングテーブルで仕事をするなら、ソファ周りの一角は子供に明け渡そう。
「マンションなら振動吸収マットなどを敷き詰めて、おもちゃ箱を置いて、子供の遊びコーナーをつくりましょう。ここだけは片付けの“治外法権”にして、どんなに散らかっても気にしないようにしてください。とくに1、2歳の子供は、物を持ち歩いて“巣”をつくるのが遊びなので、家中のものが移動して散らかっても仕方ないとあきらめましょう」
おもちゃ選びにもコツがある。キャラクターもののおもちゃの多くは遊び方が限られているため、子供は、最初は食いついても、すぐに飽きてしまうこともある。
「子供は、手を使うもの、試行錯誤できるものだと長く遊ぶ傾向があります。積み木やブロック、粘土など、遊び方の自由度が高いおもちゃを用意してあげましょう。いろいろ用意して、遊ばないようなら手を替え、品を替え、お子さんが夢中になるものを探してあげてください」
子供が集中して一人遊びをするヒントになる「モンテッソーリ教育」
なぜ子供は、「手を使う」おもちゃだと長く遊ぶのか。
それによって指が上手に使えるようになったり、発見したりするからだという。子供には本能的に「成長したい」という強い欲求があり、それを満たしてくれる活動に没頭する。
たとえば、お座りできるようになった赤ちゃんはティッシュペーパーを夢中になって引っ張り出すことがあるが、これは指でつまんで引き出す動作を練習しているのだ。
子供の年齢や性格などによって適したおもちゃは異なるが、高山さんはその一案として「モンテッソーリ教育(※)の教具(おもちゃ)を与えてみるのもいい」と提案する。下記に示した販売サイト(※※)では、同教育のブロックやパズル、積み木、ひも通しで縫う練習をする道具といった指先を使うシンプルな教具が売られている。
※イタリア初の女性医師であるマリア・モンテッソーリ(1870-1952年)が子供の欲求や発達段階に合わせて、手を使えるおもちゃを開発。モンテッソーリは遊びのことを「お仕事」と捉え、子供が自分で選んだ「お仕事」を思う存分にさせる方法を教育として体系化。
筆者もモンテッソーリ教育を行う都内の幼稚園を取材したことがあるが、2歳、3歳の幼い子供が長い時間、集中してひたむきに「お仕事」に取り組む姿には感動した。この姿が、外出自粛中の家庭で再現されたら、在宅ワークや大型連休中の親の「救い」となるに違いない。
「モンテッソーリ教育の教具は、しっかりと作りこまれているため、金額は安くありません。なので、手作りしてみるのも手です。100円均一の商品などを組み合わせて手作りできます」
※※高山教授おすすめのモンテッソーリ教育に関するサイト・書籍
☆学研 保育用品Webカタログ
☆Montehippo
☆モンテママのたからもの
☆相良敦子『モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」』(文春文庫)
年齢にあわせた手作りおもちゃが紹介されている。Amazonのプライム会員なら、kindle版が無料で読める。ほかにも書籍や個人のブログなどに、モンテッソーリ教具に倣った手作りおもちゃが紹介されているのでチェックしてほしい。
なお、モンテッソーリ教育では、数多くの天才が輩出されている。近年ではアマゾンの創立者ジェフ・ベゾス、グーグルの共同創立者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、ウィキペディア創設者ジミー・ウェールズなど、時代の寵児が名を連ねる。15歳でプロ棋士となった藤井聡太さんも幼稚園時代にこの教育を受けている。