小さな子を持つ親たちが悲鳴をあげている
4月7日に発令された緊急事態宣言により、該当する自治体の保育園や学童保育が「原則休園」や「保護者が休めない職業である場合のみ預かる」などの対応に変わった。その直後から筆者のSNSには、小さな子供を持つ親たちの悲痛な叫びが次々に届いた。
「テレワークするっていっても、2歳と5歳が家にいて、まともに仕事できない」
「体力があり余った2歳児、家の中でどうやってエネルギー発散させたらいい?」
「休校の小学生に加えて、3歳児も……。仕事が進む気がしない」
3月から始まった休校措置では、一人で留守番させるには心配な小学校低学年の子供がいる共働き家庭で戸惑いの声が上がったが、学童保育が受け皿になってくれた。また、一部の自治体では小学校での預かりも行われ、なんとかしのぐことができた。しかし、今回は学童にも、そして、未就学児のいる家庭は保育園にも頼ることができなくなった。
小学生なら、まだなんとかなるのだ。学校から出された宿題をしたり、読書したり、ゲームしたり、それなりに自分で時間を過ごしてくれる。だが、乳幼児はそうはいかない。目が離せないし、こちらの事情に忖度してくれる年齢ではない。「これから(オンラインで)会議だから、書斎には入らないでね」と頼んでも、2分後には書斎に乱入し、嬉々として会議に参加しようとすることもある。
「家庭に閉じ込められた子供たちは家庭内暴力の被害者に」
仕事はあきらめて遊び相手をしようにも、外出自粛の要請が出ている中で、遊ぶ方法は限られる。本当なら公園で友達と遊んでいるのを見守りつつ、ママ友とおしゃべりに興じたいところだが、今はそれもはばかられる。
ストレスをためないようにといっても無理な話で、普段なら笑って許せる場面で子供にきつく当たるケースや、つい手を上げてしまうケースもあるだろう。実際、新型コロナウイルスの対策で外出自粛が叫ばれる中、ユニセフ(国際児童基金)は「家庭でのストレスレベルも上昇し、家庭に閉じ込められた子供たちは家庭内暴力や虐待の被害者やその目撃者になるでしょう」(4月15日発表)と警鐘を鳴らしている。これとは別に、ユニセフは世界保健機関(WHO)と「児童虐待の危険性が高まっている」との共同声明も出している。
そこで、外出自粛のいま、小さな子供を持つ親が煮詰まらずに過ごす知恵はないか、保育の専門家である東洋大学の高山静子教授に聞いた。