不安をコントロールする「感情の数値化メモ」

そこで実践してもらったのが、「感情の数値化」というスキルでした。

「自分はいま、イライラしてしまっているけれど、過去一番の怒りの爆発に比べ、いったいどのくらいのイライラなのだろう?」
「いま、自分は将来への不安を抱えているけれど、いままでで最高潮の不安と比べれば、いったいどれくらいの不安なのだろう?」

正確な「メタ認知」(自分自身をより高い次元から客観視すること)はとても難しいことですが、感情の数値化とは、あえて感情という定性的なものを定量的にとらえようという試みでもあり、感情を「見える化」してコントロールするテクニックです。

ネガティブ感情を「見える化」して、客観視してみよう

やり方はとても簡単です。まず、最初に紙とペンを用意します。そして、「自分がこれまでの人生で経験した、最悪にネガティブな感情」を、原因となった出来事とともに思い出します。そのときのネガティブな感情が10点満点中10点となり、あなたの最大数値=モノサシの長さとなります。

次に、「いま自分が感じているネガティブな感情」の種類(不安、とまどい、焦りなど)を書き出し、10点満点中何点と採点します。

ネガティブな感情がふくらんでいるとき、脳内では扁桃体と呼ばれる部位が過剰に活性化。それが怒りや不安といった感覚を呼び起こし、決断力や判断力を低下させます。

ところが、紙とペンでネガティブな感情を「見える化」し、客観視することで、扁桃体の過剰な働きが治まっていくということが脳科学の研究で明らかになっています。