「自分の弱さ」を理解する

いま、強い不安に苛まれている人がたくさんいます。そうした不安をすこしでも軽減するために有効なメンタルスキルをご紹介します。

私たちは、ネガティブとポジティブのあいだを行ったり来たりしながら生きています。そして、うまくいっている人は自分をフラットな状態に持っていき、感情を上手にコントロールする術を知っています。

その1つは、「自分の弱さ」を理解することです。

ネガティブな感情がふくらんでしまったとき、その不快度数を客観的に把握することはとても重要なスキルです。そのスキルを身につければ、「怒り・不満・憂うつ・くやしさ・悲しさ」などのネガティブな感情によってイライラしていても、自分の中でコントロールしきれず、周囲にぶつけるようなことは極端に少なくなります。

優柔不断な女性が知らない場合幻滅した先に空からはしごを登る
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自分の中に「弱い自分」がいるけれども、それがいつも優位に立つことばかりではないことを知っているからこそ、できることなのです。

「心のクセ」はいい方向にも悪い方向にも……

私のクライアントに、学生時代、バスケットボールで国体に出場した経験のある40代の女性Kさんがいました。彼女は忍耐強い営業スタイルによって生命保険業界で活躍し、2人のお子さんを育てるシングルマザーでもありました。

公私ともに忙しいながらもうまくいっていた彼女でしたが、私のメンタルコーチングを受けたころは壁にぶつかっていました。子どもたちが高校生になり、子育てが一段落。急に仕事がうまくいかなくなり、営業成績が落ちてしまったのです。

じっくり話を聞くと、彼女の中には「成果を出せない自分は許せない」「負けるのはダメだ」という完璧主義的な考え方がありました。

これまでは、それがプラスに作用してがんばれたようですが、営業成績が落ちるという“つまずき”によって「焦り」や「とまどい」といったネガティブな感情がふくらみ、強みが弱みに変化。完璧主義を追い求めれば求めるほどうまくいかず、空回り。

これが、彼女の人生の「スキーマ(心のクセ)」でした。お話を聞いていくと、仕事以外でも、人間関係でも、完璧主義というスキーマからくる不本意な人間関係のこじれもありました。