異常な時こそ、ソフトウェアの出番だ

また、ナデラCEOは従業員向けのメッセージの中で、「地球上のすべての個人とすべての組織がより多くを達成できるようにエンパワーする」というマイクロソフトのミッションを提示し、「プラットフォームやソフトウェアのプロバイダーとしての私たちの役割によって、パートナーのエコシステムをまとめ、あらゆる組織が課題に対処するために求められるデジタル機能を構築できるようにします。この異常な時期に、これまでに作成された最も柔軟なツールであるソフトウェアが、あらゆる業界や世界中で大きな役割を果たすことは明らかです。私たちの責任は、私たちが提供するツールがその仕事に確実に対応できるようにすることです」とコメントしています。

本稿では、こうした新型コロナウイルス対策を積極的に打ち出しているマイクロソフトの特徴や強みについて考察していきたいと思います。

時価総額で抜きん出ているマイクロソフト

米国の株式市場において、時価総額でアップルと熾烈な争いを繰り広げているのが、マイクロソフトです。2020年4月9日時点で、アップルの時価総額1兆1640億ドル(約126兆7800億円)に対して、マイクロソフトは1兆2560億ドル(約136兆8000億円)となっています。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の他の企業は1兆ドルに到達していませんし、BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の中で最大の時価総額を誇るアリババでさえ5258億ドルですから、アップルとマイクロソフトの時価総額がいかに抜きん出ているかがわかります。

それを裏付けるかのように、マイクロソフトの直近の決算内容も絶好調でした。2019年6月期の売上高は前年比14%増の1258億ドル(13兆8380億円)となり、営業利益、経常利益、純利益を含めて、いずれも過去最高となっています。特に、純利益については前年比で約2.4倍となる392億ドル(4兆3120億円)になりました。ちなみに、トヨタの2019年3月期の純利益が1兆8829億円です。もちろん、自動車メーカーとIT企業という業種の違いはあるものの、マイクロソフトの高収益ぶりがわかるでしょう。