アマゾンを猛追するクラウドサービス「アジュール」

マイクロソフトのクラウド事業は、極めて高い成長を続けています。当初の「ウィンドウズ・アジュール」という名称は、2010年10月に「マイクロソフト・アジュール」と改称され、現在では一般的に「アジュール(Azure)」と呼ばれています。改めて、2019年6月期の売上高をみると、「アジュール」やサーバー事業が属する「クラウド」部門は390億ドル(4兆2900億円)と、全体の31%を占めています。前年比の増加率は21%で、事業部門としてはもっとも高い成長率になっています。

マイクロソフトの売上高ポートフォリオ

さらに、クラウド市場のライバルで、シェアトップのアマゾンのAWSにも迫りつつあります。アナリストの直近の予想では、「アジュール」の売上高について、AWSの5割程度と推定しています。また、2019年秋に行われた米国防総省『共同防衛インフラ事業(JEDI)』の入札において、マイクロソフトがアマゾンに勝って落札したこともニュースになりました。事業規模は、100億ドルに上る受注となる見通しです。マイクロソフトは、すでに米通信大手AT&Tとクラウド事業で提携し、米ウォルマートも顧客にしています。ソニーと共同でゲームのクラウド化を進める計画があるので、グーグルに対抗するとみられています。

クラウド市場はまだ発展の初期段階とされ、成長する余地は十分に残されています。近い将来、市場規模は1兆ドルに達するという試算も出ているほどです。再生したマイクロソフトの成長は、まだ始まったばかりといえそうです。

マイクロソフトVSアマゾン。クラウド業界の覇権争い