「学校を休むなんてとんでもない。ここを乗り越えさせなければ」
障害年金の請求に向けて情報を整理するため、筆者は母親に質問をしました。
「障害年金の場合、初めて病院で診療を受けた日、つまり『初診日』を確認しなければなりません。ご長女の場合、いつ頃になりますか?」
この質問に対して母親は自信なさげに答えました。
「昔のことなのではっきりとした時期は覚えていませんが、おそらく中学生の頃です。当時いじめにあって体調を崩してしまい、病院に連れて行った記憶があります」
当時の状況をもう少し詳しく聞く必要があったため、さらに母親からお話をしてもらいました。
長女が中学生の頃、おなかを下すことが多くなったので近所の内科へ連れて行ったそうです。しかし、そこでは特に異常は見られませんでした。気になった母親は長女に問いただしたところ、学校でいじめを受けていたことがわかりました。
当時、母親は「学校を休むなんてとんでもない。社会に出たらもっとつらいこともある。ここを乗り越えさせなければ、この子は駄目になってしまう」と考えていたので、嫌がる長女を無理やり学校へ通わせてしまいました。
その結果、長女は食欲がどんどんなくなっていき、よく眠ることができない、体がだるい、頭がぼーっとする、勉強に集中できない、といった症状が出ました。結局、中学校へ通うことができない状態まで悪化。そのまま卒業まで学校に通うことはありませんでした。
母親に勧められしぶしぶ通った通信制の高校も行かなくなった
中学卒業後、ひきこもっている長女を心配した母親は、長女に通信制の高校を強く勧めました。母親には「どんな状況であっても、勉強はできたほうが良い」という考えがあったからです。
長女はしぶしぶ母親の提案を受けましたが、もともとあまり乗り気ではなかったので、結局長続きはしませんでした。
そのような長女に対して、時に母親は厳しい言葉を投げかけてしまったそうです。
それに対し長女は「自分は何をやっても駄目な人間なんだ。この世に必要ない人間なんだ」などと叫びだし、自暴自棄になってしまいました。時には母親に暴言を吐いたり、暴力をふるったりすることもあったそうです。その後、複数の病院に通うものの、症状は一向に改善せず、悪化するばかり。
「もっと別の方法で長女に接することもできたはず。しかし、当時の私にはそんな余裕はありませんでした」