ワークマンは非常に店舗投資を低く抑えられている

また、ワークマンは、迅速な出店と撤退ができる出店方式を取っています。ワークマンの1店舗当たりの固定資産の平均は約1000万円です。これを、同じくアパレル業界のうち、国内店舗情報を公開しているしまむらと比較してみます。しまむらは1店舗当たりの固定資産は約8000万円。すなわち、ワークマンは非常に店舗投資を低く抑えられていることがわかります。なぜ店舗投資をそこまで低く抑えられるのか。それはワークマンは、出店時に土地を購入せず賃貸としているためです。

さらに、建物も通常購入するのではなく、リース契約にすることで実質的に分割購入としています。つまり、出店ごとに多額のキャッシュアウトが一時に発生しないようにしています。店舗型ビジネスにおいて、出店時の高額支出が最大のボトルネックになることがあります。出店を進めれば進めるほど、資金需要が高まり、もし資金調達が間に合わなければ出店自体を諦めなければなりません。しかしワークマンは店舗出店にかかるキャッシュアウトを低く抑えられ、好立地を見つけられたタイミングで、迅速な出店が可能です。

さらに、フランチャイズ契約のAタイプでは、6年ごとに契約を継続するか本部と加盟店の双方で交渉をすることになっています。Bタイプでは1年ごとに交渉が必要となっています。すなわち、これは採算性の悪い店舗については、更新の都度、本部と加盟店側で撤退も含めた協議ができることを意味します。仮に撤退したとしても、固定資産を低く抑えているため撤退時の損失も低く抑えることができます。

(図版=鳥山 慶 写真=時事通信フォト)
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