夫婦間での勤務時間の調整を可能

開店・閉店作業についても、最短5分で終わるように業務設計がなされており、ゆっくり出社し、仕事が終わったら直ちに退社できるよう工夫されています。さらに、加盟店オーナーになるための条件を厳しくすることで、店舗運営が安定する配慮がされています。店舗近隣に住んでいる者をオーナー募集することで通勤時間を短縮、夫婦経営を条件にすることで、夫婦間での勤務時間の調整を可能としています。

これらの加盟希望者に対して魅力的な条件を提示することで、店舗数を順調に増やし、高収益率を実現しているのです。ワークマンの店舗のうち、87%がフランチャイズ店となっています。総営業収入約670億円のうち、フランチャイズ店からの収入は約25%の172億円を占めます。フランチャイズ収入は直営店と比較してコスト負担が小さく、利益率が高いのです。

3つ目が、独自の出店戦略です。ワークマンは、ドミナント戦略とスクラップアンドビルドを可能とする出店方式を組み合わせることにより効率的な経営を実現しています。

日本ロジスティクスシステム協会発表の19年における売上高物流コスト比率の平均値は4.9%でした。これに対して、ワークマンの同比率は2.1%と半分以下であり、物流費を低く抑えることに成功しています。

ワークマンは、他のフランチャイズと異なり、立地の決定権がオーナー側にありません。出店場所は本部が100%決定する方針であり、希望者の通勤圏に出店予定がない場合は加盟ができません。一方で、通常のフランチャイズであればオーナー側に裁量権が認められているケースが多いのです。コンビニや飲食店では、オーナー側から希望の立地を伝え、それに基づき候補地を本部が提案する等、出店場所に対してオーナーにある程度の裁量権が認められています。

しかし、ワークマンは、本部決定により徹底したドミナント戦略を実行しています。例えば、東京近郊におけるSHOO・LA・RUEの店舗間の距離を調べると、各店舗間の距離が10~15キロメートル程度であるのに対して、ワークマンの店舗間の距離はおおむね2~3キロメートル以内、隣店から離れた店舗でも10キロメートル以内に出店しています。それにより、配送効率を高めています。