インフル死亡者は沖縄など温暖な地域ほど少ないとは言えない

データが豊富にあるインフルエンザの統計を調べると、インフルエンザによる死亡者は沖縄など温暖な地域ほど少ないとは必ずしも言えない。これは新型コロナウイルスについても同様である可能性もあるだろう。

新型コロナウイルスに関しては、子どもは感染したり、死亡したりすることが少なく、高齢者は持病のある者とともにウイルスに弱いと言われる。こうした傾向がインフルエンザと同じかどうかを確かめてみたい。

かなり高い年齢層と男性でリスクが大きい

インフルエンザも新型コロナも高齢者が罹るとリスクが大きいと言われており、また、実際、新型コロナウイルスによる犠牲者の年齢も70代、80代が多い。

図表1に2018年に日本国内においてインフルエンザで亡くなった人(全3325人)の男女・年齢5歳階級別の人数を示した。

データを見ると、インフルエンザで亡くなる人は高齢者に集中していることがわかる。すなわち、65~74歳のいわゆる前期高齢者と比べて、75歳以上のいわゆる後期高齢者、中でも85歳以上の超高齢層で亡くなった人が圧倒的に多かったのである。

男女計の年齢割合では、75歳以上の死亡が84%(2809人)に上っており、そのうち85歳以上だけでも60%を超えているのである(2003人)。

5歳階級ごとでは、男性では「85~89歳」(414人)、女性では「90~94歳」(420人)の死亡者数が最も多い。

そうなると、通常あまり外出しないと見られるこうした年齢層がどこでインフルエンザウイルスに感染したかが問われよう。高齢者施設などでの感染か、同居する、あるいは訪問した子や孫から感染したと考えるほかない。新型コロナも同様だとすれば、こうした点をめぐる予防対策に重点を置くべきだろう。

男女別の特徴として男の死亡が多い点にも気づく。「55~59歳」から「80~84歳」までの各5歳階級の死亡数について比較すると、男のほうが女より死亡数が倍近くである場合がほとんどなのである。