インフル死亡率が高いのは「女より男」「超高齢層」

人口10万人当たりインフルエンザ死亡数(2018年)

図表2には、人口10万人あたりの死亡数(死亡率とも呼ぶ)についても、男女・年齢5歳階級別の値を図示した。明確になったことは、「死亡率が超高齢層で顕著であること」、また「女性より男性の死亡率が高いこと」だ。

男性のほうがウイルスに感染しやすいのか、それとも感染した場合に重症化しやすいのか、そのどちらか、あるいは両方であろう。

この点については、海外の医学雑誌でも事実が指摘され「ホルモンの違い」、あるいはオスのほうが性進化の中で生存にとって「身体に余計な機能が多い」といった動物一般と共通する種々の要因仮説が提出されているようである。

新型コロナでは、男性のほうが女性よりリスクが高いとはあまり言われていないようだが、この点はインフルエンザとは異なるのか。今後の動向を注視していきたい。

また、新型コロナでは、子どもは感染したとしても症状が軽いと言われており、だからかえって周りに感染を広げてしまうという問題があると考えられている。

インフルエンザではどうだったかというと、やはり、10歳未満の子どもは、少なくとも2018年には、男子が7人、女子が12人とかなり少なかった。すなわち、重症化する子どもが少ないというのは、別に新型コロナだけの特徴であるとは言えないようだ。

高齢層拡大が大きく押し上げているインフルエンザ死亡の増加

想像以上に超高齢者に偏った死亡リスクの特徴は、以前からのものなのか、それとも最近になって目立ってきている特徴なのだろうか。

図表3に2000年以降の年齢別のインフルエンザ死亡数の推移を追った。高齢層での死亡がますます目立つようにはなってきているが、従来75歳以上の高齢層でリスクが高かった構造自体は変わっていないようだ。

従来から高い75歳以上のインフルエンザ・リスク

本連載では、先月の記事(なんと1日50人以上「インフル死者」が日本で急増する不気味)で、近年インフルエンザによる死亡数が不気味な増加傾向をたどっている点を指摘した。その際に、インフル死亡数の増加の要因として「高齢層拡大の影響」について述べたが、具体的なデータは示していなかった。